読書は、マンガでもまったく問題ない!
僕は子どもの頃から、読むことが好きだった。
家にあった百科事典は、幼い頃に読了してしまった。知的好奇心が強いのもあったけれど、世間と自分との情報の壁を越えるには、昔は本を読むしかなかったのだ。
読書をしていれば、思考の筋肉は衰えない。思考の筋肉は、物事を深掘りして、本質を見きわめるには必要だ。スピード感が掛け合わされば、ビジネスでも実力を発揮できる。
読書は、何も活字だけの本には限らない。僕が読んでいるのは、圧倒的にマンガが多い。
「マンガばかり読んでいたらバカになる」なんて考えは、大昔のものだ。先にも書いたように現在、第一線で活躍する知識人は、若い頃にマンガが大好きで、マンガの影響でその後の道を志したという人がとても多い。特にサイエンスの分野では顕著だ。
米国で最も権威ある医学賞のラスカー賞を受賞した、京都大学教授の森和俊さんは『鉄腕アトム』のマンガ体験がきっかけで、研究者を志したという。この先は『鋼の錬金術師』を読みふけり、後にノーベル化学賞の受賞者となる人材も現れるだろう。
想像力を振り絞って、フィクションで描き上げられたマンガには、現実とリンクする知識が詰めこまれている。
宇宙航空研究開発機構JAXAへの綿密な取材によって、つくりあげられたように思われる『宇宙兄弟』も、実は作者の小山宙哉さんの完全な想像から生まれたという。
マンガを熱心に読むことは、専門書の研究にも匹敵する学びに通じるのだ。
歴史大作や人物評伝のコミカライズなど、綿密な取材に基づいて描かれたマンガなら、小説と同じかそれ以上の情報が詰めこまれている。現役の中国史の研究者のほとんどは、横山光輝の名作『三国志』を読んでいるだろう。