※牧村さんに聞いてみたいことやこの連載に対する感想がある方は、応募フォームを通じてお送りください! HN・匿名でもかまいません。/バナー写真撮影:田中舞 着物スタイリング:渡部あや
誰かの決めたハッピーエンドに向かって頑張らされるより、自分のペンで自分の人生の物語を書いていこう。っていう人生相談連載、「ハッピーエンドに殺されない」。
今回は「お金さえあれば、レズ風俗を利用しまくることができれば、性のこともっと話せるのにな。どこに行って誰となら女は安全に性の話ができるの?」っていうおたよりにお返事を書きます。
まずは、おたよりからです。
気圧にやられやすいタイプのたぶんバイセクシャルな独身貴族リーマンです。 昔ある日、例のレズ風俗レポ漫画を見たのを機に時々レズ風俗を利用するようになりました。
それを機にはじめて同性間の性行為をしましたが、サービスが良かったおかげもあって、「セックスはコミュニケーションの一つである」と実感したり、「自分は性欲と恋愛欲は別であるタイプ」と認識したりすることができたのです。
しかしその一方で、日頃性やセックスのことを話せる相手や人がほとんどいないことが悩みとして芽生えています。 考えられる理由としては
- そもそも女性が性全体のことを気軽であれ真摯であれ考え語る場が限られていると感じているから
- そもそも性のこと自体がデリケートなテーマなので話し合いやすい人を見つけるのが難しいから
- 女性が風俗をはじめ性サービスを利用するということが少数派なのではないか
思いつく限りはこんな感じです。
性について気軽に話せる友人は1人だけいるのですが、その人は家庭のことがあり、電話等で話す時間も限られてしまうため、どうしたら良いのだろうかと頭を抱えています。
理想的には「目玉焼きに何かける?」「えっ君はメープルシロップ派なの?面白そう!」な感じで話せる人がいたらなと思うのですが、これは高望みでしょうか?
牧村さんは、女性が性について語り考えられることについてどう思いますか?そんな場をご存知ですか?そして、探したり見つけたことがあれば、どのように探しましたでしょうか? お忙しい中恐縮ですが、回答をいただけたら幸いです。
ちなみに異性との行為は何度か経験したことあるのですが、運悪く「自分の息子ファースト」な人にあたることが多く、勉強にはなったのですが当分の間関わること自体お断りな状態です。
私が石油王や高額くじ当選者であればレズ風俗をひたすら利用することでだいたい問題解決しそうなのですが平凡な民なのでそれは叶わないのです。
「セックスはコミュニケーションの一つ」
そう言いながら、誰よりあなたが、性と人間とを切り離しているのだと思いました。
すみません、今からまず言うことは単なるド正論に聞こえると思います。が、正論だけでは済ませないつもりです。というわけで、前置きとしての正論を申し上げますね。
「セックスのことを話せる相手がほとんどいない」、じゃ、なくて。「人と関わっていく。人とわかり合っていく。その先に、セックスのことも話せるような関係性が育っていく」っていう順番のはずです。
「私のしたい話ができる場はどこにありますか?」、じゃ、なくて。「まず自分が自分を受け入れる。その先に他者と、強要しない/されない、他言しない/されない、優劣をつけない/つけられない一対一の信頼関係を築いていく。そうやって、セックスのことも含め、なんでも話せるような関係性が育っていく」っていう順番のはずなんです。
はい。以上、前置きとしての正論でした。
が、正しいことを正しそうな顔でやれるのは、大体において、あらかじめ強いやつです。人間関係の構築に時間と気力をかけることができるやつです。
それはそうなんですが、そうだからと言って、「強くて余裕がある人が正しいことをできるんでしょう?私にはできない😢」なんて泣き続けてたら進めない。なので気が済むだけ泣いたら、ちょっと状況を見て、それから先を見るってことをやっていきたいと思います。
では状況確認です。
ご投稿文を拝読して思ったのですが、もしかして……
「面白く書かなくちゃ」
ってお気持ちがおありでしたか?
なんだか、「サービスしなきゃって思ってそうだな」という感想をわたしは抱きました。「石油王、とか書いてオチをつけなきゃ」みたいな。そうやって「サービスしなきゃ」って思いながら人と接していらっしゃるがゆえに、人間関係が、「自分に合うサービス提供者を探す」という感じになっているのではとお見受けします。
「サービスしなきゃ」って圧を自分にかけている。
自分に合うサービス提供者を求めてしまう。
人間関係が「わかりあい」じゃなくて「サービスのしあい」になる。
こういう状況を、おたよりの中の、下記ふたつの例に感じました。