♪『東京電脳探偵団』はこちらから聴けます♪
〈エクソダス〉のアイコンをクリックしようとしたそのとき、
「ミクちゃん」
電話を受けているはずの受付のお姉さんが振り返った。
不意を突かれてぎょっとしたミクは、硬直した背筋をピンと反らせてまるで兵士が上官にでもするような大きな返事を「ハイッ!」とやった。
挙動不審なミクの様子にお姉さんはきょとん、としつつも、
「あの、弟さんから電話。二番」
電話はレンからのものだったようだ。
「すいません!」 ミクは冷や汗をかきながら電話を取って、
「電話しちゃダメだって——」
言い終わるか終わらないかのうちに、レンが抑揚のない声で言った。
『死んだんだって』
「え? なに? ごめん聞き取れない」
『ユウキくんが——』
「なに」
『死んだんだ。今、その——』
ミクはその後都合三度聞き返した。
ユウキが、死んだ。ミクと昨日初めて会った彼が、ミクに人探しを頼んだ彼が、ミクに昨日メールをくれたばかりの彼が、今日、死んだというのだ。
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