街の声」に頼りすぎ問題

最近テレビで大きな芸能ニュースがあると、必ずあわせて流れるのが「街の声」。今回の「ワダアキ考」はこの街の声問題を考えます。


「えー、本当ですか!」

先週末から週明けにかけて、テレビをつけると、とにかく「街の声」を伝える様子ばかり目にした。田中邦衛の死去、有吉弘行・夏目三久の結婚、水泳・池江璃花子の五輪出場決定、橋田壽賀子の死去。悲しいニュースと嬉しいニュースという正反対の話題でありながら、「街の声」は、押し並べて「えー、本当ですか!」という力強い発声から始まった。「そのニュース、先ほどスマホで見たんですが……」と前置きを入れたり、「現時点ではなんとも言えませんが……」と意見を保留したりする人はおらず、今そこで伝えられた情報に、強く反応する様子が重なっていく。

とにかく急いで収穫する

新型コロナウイルス感染拡大以降、著名人の訃報をスマホの1行ニュースで知った後、これはコロナによる死なのか、あるいは、残念なことに増えてしまっている自死なのかを心配し、そうではない死だと知ると、どこかで安心する自分がいる。もう、絶句する「街の声」を見たくない。その直後、自分の中に生まれた安心に対して、自分で自分のことが何だかおぞましくなる。なぜって、人が死んだのに、その死因を知り、安心しているのだから。

ターミナル駅の改札周辺では、結構な確率で「街の声」ハンティングが行われているが、先週末から続く大きなニュースに向けられた「街の声」は、とりわけいつもよりもスピーディに撮られたはず。たとえば、田中邦衛死去の第一報から「街の声」ハンティングまでのスピードはなかなかのものだったが、カメラを持って、スクランブル交差点に急いだスタッフは、「これ、急いでどうするんだろう?」とは思わないのだろうか。「えー、ショックですー」。それらをいくつか収穫し(「収録」より「収穫」という形容が似合う)、ベストな「街の声」を流す。

「街の声」の三類型
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Lymiour 「不要不急の外出は控えましょう」と呼びかける立場のはずの放送局がこの1… https://t.co/h45PPDQNaQ 9日前 replyretweetfavorite

HasechacoA ワイドショーはニガテ…… 極力、観ない。 (サ室で流れてると…(´-ω-`)耳栓必須) 10日前 replyretweetfavorite