​「昔から知ってた」という言葉には価値がない

現在流行しているものに対して「昔から知ってた」みたいなことを言ってしまう人がいます。その発言には意味がないとbar bossa店主・林伸次さんは言います。流行との向き合い方について考えます。

大同電鍋、ご存知ですか?

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

先日、cakesでも連載をされているスープ作家の有賀薫さんが、noteで「2021年の気分にぴったりくる調理器具、大同電鍋」という記事をアップされていました。僕は思わず「有賀さんがこんなnote書いてしまうと、すごい『大同電鍋ブーム』が来ちゃいますね。メディア関係の方、大急ぎでチェックです!」というツイートをしたんです。

台湾の大同電鍋、ご存じでしょうか? 台湾家庭の一家に1.7台もあるそうなのですが、「炊く、蒸す、煮込む、温める」の四役を1台で担う、台湾の家庭料理を象徴する調理器具なんですね。

ここ数年、『Howto Taiwan』編集長の田中怜さんが紹介したり、bar bossaの昔からの常連で、タジン鍋のレシピで有名な料理研究家の口尾麻美さんがInstagramで大同電鍋をよく使っていたので、「おお、大同電鍋、来てるなあ」とは思っていました。そこに有賀さんの紹介が加わることで、すごいブームが来てしまう、と思ってツイートしたわけです。

ちなみに、飲食業界ではこういう「新しい道具による料理の変化」というジャンルがあります。例えば、「シェイカー」が発明されたとき、すごい革命だったと思うんです。まだ冷蔵庫が普及していなかった時代に、お酒とジュースを氷を使って瞬間的に混ぜて、冷え冷えの状態でいただく。当時のバーテンダーたちは夢が広がったと想像します。

あるいはコーヒー業界だと、「ペーパードリップ」という技術がありますね。このコーヒーの淹れ方が考案されると、かすのないコーヒーが飲めると評判になり、一気に世界中に広まったそうです。

ところで、冒頭のツイートをしたところ、「大同電鍋、もうブームですよ」という突っ込みを受けました。流行って難しいですよね。ネットで話題、テレビで話題、国民の半分以上が知っている、だとどれも流行と言えますが、規模はかなり違います。

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ワイングラスのむこう側

林伸次

東京・渋谷で16年、カウンターの向こうからバーに集う人たちの姿を見つめてきた、ワインバー「bar bossa(バールボッサ)」の店主・林伸次さん。バーを舞台に交差する人間模様。バーだから漏らしてしまう本音。ずっとカウンターに立ち続けて...もっと読む

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コメント

i_risho https://t.co/1pxR9LYQH6 ある種 マウント取りたい欲 なんだろうな なんだろ マウント取りたい欲 私にも多分にある アホらしいと思いつつ 6ヶ月前 replyretweetfavorite

sinosinos1 確かにそうかも。つい、知ってる事に関して言いそうになっちゃう気持ちもわかる… でも水をさしちゃうことになってる的なw 6ヶ月前 replyretweetfavorite

yamaji_yuki_ 「昔から知ってた」という言葉には価値がない|林伸次 @bar_bossa | ただ巡るもの、かもしれないですよね。誰に見つかるか見つからないか、というだけ、というか。 とても共感…! 6ヶ月前 replyretweetfavorite

chinamey 歌手とかアイドルとかでも、これ言われることありますよね〜好きになったのは今の彼、彼女だから!意味ないな〜と思います(´o`; 「昔から知ってた」という言葉には価値がない|林伸次 @bar_bossa | 6ヶ月前 replyretweetfavorite