アパレル店員はなぜうざい声がけをしてくるのか?

今回取り上げるのは、誰しもが感じる洋服屋最大のタブー「アパレル店員はなぜうざい声がけをしてくるのか?」問題に触れます。元々販売でもあったMBさんが、売る側の視点からその理由と問題点を考えます。

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ペンネーム:けんけんぱ
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先日YouTubeにアップされた『ウザい販売員あるある』を拝見して、アパレル店舗でアルバイトをしている自分に当てはまる行動ばかりだな、と感じました。 大衆店であるユニクロが基本的に声掛けをしない方針なのも納得です。

しかし、中には動画に挙げられてるような振る舞いをしないと、お客さんとコミュニケーションを交わしたり、アドバイスも出来ないのでは?という考えも出ました。(私は挙げられている行動をあまり厄介に思わないのもあるかもしれませんが…)

そこで質問なのですが、MBさんが過去に販売員をしていた時には、どのような振る舞い(どのような声かけをしていたのか、お客さんを試着に案内した後の行動など)をしていましたか?

ぜひお聞かせください。

ありがとうございます。


うざいショップスタッフあるある

こちらの動画ですね。未見の方はぜひご覧ください。ちょっと笑えるネタ動画ですが。今回、真面目な質問だとは思いますが正直ネタ動画なので……ちょっと困惑しつつ真面目に回答したいと思います。

「動画に挙げられてるような振る舞いをしないと、お客さんとコミュニケーションを交わしたり、アドバイスも出来ないのでは?」

とありますが、まさにその通りです。例えばお客様に話しかける際に、

「良かったら試着もできますので」
「どうぞご覧ください」
「サイズ違いもありますので」

などですね。そこを皮切りにお客様と会話を始めようと考える販売員が多いため、皆定型句の様に声がけするわけです。それは質問者さんのおっしゃる通りです。もちろんそれが全て悪いわけではありません。

しかしそれってやっぱり売り手側都合ですよね。「話しかける言葉がないからここをきっかけに話しかけよう」って、お客様からすれば何の意味も持たない会話をさせられるわけです。

販売員の存在意義が「お客様のためを考えてアドバイスをすること」だとすると、話しかけにくいからといって「自分都合の声がけ」をするのが正しいでしょうか? どう考えても、ここにいささかの疑問を抱きますよね(絶対悪いとは思ってませんけどね)。

質問者さんのように不快に思わない方もいらっしゃいますが、現実として多くのお客様がアパレル販売員に対して「いちいち声かけてこないでほしい」と思ってるわけです。そしてその「いちいち」とは「(必要がないのに)いちいち」という意味を含んでいます。

つまり、「必要がない言葉をかけているからウザがられる」というのが本件を分解した答えなわけです。アパレル販売員がウザがられる一因は、「必要のない言葉をかけてくる」「必要のない接客で時間を奪ってる」からである、と言って明確に否定できる人はいないでしょう。そしてそれを端的に・象徴的に表しているのが

「良かったら試着もできますので」
「どうぞご覧ください」
「サイズ違いもありますので」

ではないでしょうか?

私が販売員の時も、当然このセリフは何度も口に出していましたが、どうもこの言葉をかける必要性がいつまでも理解できませんでした。そこで途中からこれらを言わず、必要なことだけ話かけることにしたのです。

例えばサイズで困っていそうな方がいたら、

「サイズでお困りですか?普段着られているサイズはおいくつでしょうか?」

と話しかけ、例えば似合うかどうか確かめている方には、

「そちらですが○○を着られる方がよく選ばれます。△△ならお似合いになるかと思いますよ」

などと話しかけます。

「良かったら試着もできますので」
「どうぞご覧ください」
「サイズ違いもありますので」

などの定型句を封じられると気が付くのですが、「最初に何を話していいのかわからない」のです。しかしそれは逆に言えば「お客様が何を求めているのか、何を考えているのか読み取れない」ということでもあります。

よーく見ていると行動や着こなしからお客様の考えは見えてきます。アウターが欲しい人はアウターのみに触れることが多いし、予算上限があり値段を気にされる方は値札をひっくり返すことが多い、目的意識のない方はテキトーにパパッと雑に触って終わりですし、平台のニットを開いてみる方は相当購買意欲が高い方です(畳んであるのを崩すのは心理的にハードルが高い)。

こうしてしっかりお客様の行動を観察すれば、「良かったら~」などという定型句でなく、真にかける言葉が見えてくるはずです。我々販売員は一番大事な「お客様の考えていることを推察する」という努力を、定型句やノリでごまかそうとしているとも言えますね。

何度も言いますが上記の定型句が悪いわけではありません。お客様のことを考えた上で、これらの言葉を選ぶのならそれで良いでしょう。

しかし大事なのは「最初の声がけ」ではなく、大事なお客様が「今何を考え、何に困っているのか」を察することです。サービス業とはそういう働き方が基本です。「どの言葉を言えば良いのか」「どんな声がけが正解なのか」じゃなくて常に頭を動かし、目の前の人が求めるように声をかけることが大事なのです。

それを放棄しているからこそECに水をあけられているのだとも思います。ご参考になれば。

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コメント

shakushinji 服は店主と相談しながら誂えてもらうもの、なんてのはもう古いか。 2ヶ月前 replyretweetfavorite

910ryu メモ https://t.co/PcTjLMhu4D 2ヶ月前 replyretweetfavorite

syoujinkankyo いらっしゃいませ、は万引き防止でもあると思うけど(笑)、私も苦手でユニクロに行きがち…… 2ヶ月前 replyretweetfavorite

snowsplash_ 多分私が服屋さん苦手なのはこれなんだとおもう。逆に、何かを探しているときに声をかけてきてくれるレベルの人少ないよね。 https://t.co/GMlKiznXdz 2ヶ月前 replyretweetfavorite