新幹線vs.エアライン#2】北陸の悲願は空路の維持

日々、あふれる経済ニュース。じっと眼をこらすと、そこには挑戦や成功、葛藤や挫折があります。この連載では、週刊東洋経済に掲載された記事からcakes読者にお読みいただきたいテーマをピックアップしてお届けします。

大型台風で北陸新幹線が運休
北陸の悲願は空路の維持

 2019年10月16日、気温が10度近くまで下がり冷え込んだ22時の富山駅には、予約していた新幹線の切符の払い戻しや、迂回経路の相談に来た人々で2時間待ちの行列ができていた。「窓口の営業時間は23時30分までとなっておりますので、本日はお引き取りいただくかもわかりません」。駅の職員から申し訳なさそうにアナウンスされた列後方の人々は、言いようのない徒労感に包まれた ──。

 10月13日、前日から本州に上陸した台風19号による千曲川の堤防決壊で、北陸新幹線の線路が冠水。信号装置に被害が確認され、長野-上越妙高間が運休した。

 東京から富山などを経て金沢まで、12両編成(約900席)で1日約30本を運行する北陸新幹線運休の影響は大きい。台風が接近した11日から5日間、石川県内の宿泊施設で発生した予約キャンセルは9462人。富山観光の目玉であるトロッコ電車も約4000人が予約をキャンセルした。

 JR東日本は10月25日の全線再開を目指してたが、長野市内の車両基地が浸水し、北陸新幹線全車両の3分の1に当たる120両が水没。修理には大幅な機器交換を要する可能性があり、最悪の場合は廃車も見込まれる。予備車両の転用やダイヤ調整を行っても、運転本数は通常の8割ほどにとどまる見通しだ。

 新幹線の払い戻しに来た人々に話を聞くと、ほとんどの人が代替案として飛行機を挙げた。友人と東京旅行を計画していた富山在住の30代女性は「新幹線の運休を知り、真っ先に飛行機の予約サイトを開いた」と言う。現在、全日空(ANA)や日本航空(JAL)による定期直行便が、羽田から小松へ1日10往復、能登へ同2往復、富山へは同4往復で運航されている。

 新幹線の運休を受け、ANAとJALは羽田発着の小松・富山路線で一時的な機材の大型化や、臨時増便を実施。両県が定期航空便を持っており、エアラインが整備などの体制を構えていたことが奏功した。今回のような有事に北陸が空路で対応できた背景には、ANA・JALを逃がすまいと奔走した自治体の地道な取り組みがある。

新幹線が「ドル箱」奪取

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