優しくない自分でいい。無理に「優しい人」にならなくていい。

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瞑想とは、自分の心の状態を整える手法です。ちょっとイメージしてみてください。

右側に、喜ばしくて楽しい、プラス状態があります。左側に、イライラして腹立たしい、マイナス状態があります。どちらの状態も、心が沸き立ち、波立っています。

そのプラスとマイナスの間に、穏やかで落ち着いている状態、ニュートラルでフラットな心があります。そこには大波はもちろんなく、ポツンと落ちた雨粒で広がっていく波紋もない。私たちの心はこの三つの状態を、行ったり来たりしています。

喜びであれ、イライラであれ、心が揺れ動いていることを自覚し、ニュートラルな状態に整えていく。それが瞑想です。

「優しい人になりたい」「でも、なれない。実際は、他人のことを虫けらのように感じてしまう」「そんな自分が大嫌いだ」こんな思いを抱えて、心が行ったり来たりして苦しんでいる方がいました。この方の問題は、二つあります。

一つ目は、他人に優しくできないことを、悪いと思っていること。もう一つは、優しくない自分から、無理に優しい自分になろうとしていること。

このジレンマから抜け出す第一歩は、「マイナス感情に長く滞在している」と気づくことです。自分が嫌いだからといって、あなたの価値が低いわけではありません。私も、あなたも、どんなに素晴らしい人間だと思われている人も、実際の価値はニュートラルです。ただ自分勝手に、自分や他人に価値の優劣をつけ、好き嫌いのレッテルを貼っているだけ。

なので、さまざまな思いが湧き上がってきたら、その思いを瞑想によって眺めていただきたいのです。「他人を虫けらのように思ってしまう」「他の人に優しくなんかできない」「そうできないのは、自分を愛してないからだって人は言う」「だけどそんなこと言ったって、こんな自分を愛せますか?」「自分が好きになれないどころか、消えてしまえばいいと思ってる」「でも本当は人に優しくできる人になりたい」「イライラしないで過ごせる自分でいたい」「でも他人を尊敬することなんかできない」

……こんな風に自分の心のつぶやきを、口に出して繰り返していくんです。そこに善悪や好き嫌いなど一切の評価を挟まずに、ただただ自分の心のつぶやきを観察していく。

すると次第に、あっち行ったりこっち行ったりして揺れ動いている自分の心を、あたかも他人の心のように冷静に眺められるようになるのです。これがニュートラルにいる状態です。

興味深いことに、嬉しいときでも、イライラしているときでも、自分の今の心の状態に気づくと、その瞬間に心がヒュッと真ん中のニュートラルに戻るのです。この訓練を根気よく続けると、結果的にマイナスへの滞在時間が減っていきます。では、真ん中のニュートラルに戻る方法がわかったところで、次のステップに進みましょう。

「他人に優しくできる人になりたい」「自分もニコニコ笑っていられる人でいたい」その思いは、心の中にある小さなともしびです。ぜひ大事に育ててください。しかし、そう願うだけでは不十分。毎日、意識して水をやり、雑草を抜き、十分に太陽の光を当てて、栄養分をあげて初めて育つものです。

仏教では他人に対する思いやりの育て方と、いつもニコニコした自分でいるための秘訣を具体的に伝えています。それが「慈悲喜捨(じひきしゃ)」の瞑想です。

慈悲喜捨の「慈」とは、どんな人でも自分の友達と思って接するということ。「友達だと思える・思えない」ではなく、「友達だ」と決めるのです。「他人なんて虫けらだ」と思うかもしれませんが、かのファーブルから見れば昆虫は大親友。犬や猫だけでなく豚も馬もヤギも、親しい人もそうでない人も、みんな友達と考えるんです。全員が友達だと思えば、嫌われたくないし、いい関係をつくるような言葉がけや振る舞いをしますよね。

「悲」とは、友達が悲しんでいるとき、自分ごとのように一緒に悲しんであげること。

「喜」とは、友達が喜んでいるとき、自分ごとのように一緒に喜んであげること。

最後の「捨」は何かといえば、慈、悲、喜を実践しようと頑張るあまり、余計なおせっかいや詮索(せんさく)をしてしまわないこと。

この慈悲喜捨の実践は、一見簡単なようで容易ではありません。意識して練習しないと、なかなか身につけることはできません。なぜなら、自分の心がプラス感情のときは他人のマイナス感情に寄り添えず、自分の心がマイナス感情のときは他人のプラス感情に寄り添えないからです。

心がニュートラルなら、どちらにでも行けます。慈悲喜捨の瞑想は、自分も他人も卑下することなく、また好き嫌うこともない、ニュートラルで柔軟な心を養うための練習なのです。

どうぞあなたの中にも、慈悲喜捨心を大切に育ててみてください。

*本連載は、大愚元勝・著『人生が確実に変わる 大愚和尚の答え』(飛鳥新社)の一部を抜粋したものです。

「悩み」の出口は、目の前にある。

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