先日、私の元に寄せられた相談は、海外でバリバリ仕事をし、気づけば独身のまま子どもを持たずに四〇代を迎えた女性からのものでした。そこに後悔はないようですが、「別の選択肢もあったのではないか」と綴(つづ)られていました。
仕事一筋に生きてきた人も、家庭のことだけやってきた人も、人生の半ばで「これで本当に良かったのか?」と振り返ることがあります。特に、自分と違う道を歩んできた人が身近にいたりすると、ふと迷うことってありますよね。
人は、自分の持っていないものを望んで悩む生き物です。ついつい、SNSなんかで人と比較して自分が勝っているか負けているかを意識してしまう……。全部持っている人なんて、いるわけがないのに。
私たちが常に誰かをライバルとし、競争してしまうのは、それが幼い頃からずっとやってきた方法だからなんです。現代社会には競争原理が働いていますから、「他人に勝つ」という目標を掲げることによって、自分を鼓舞し、努力し、技術を磨いたり知識を蓄えたりします。みんながその状態でチャレンジし、切磋琢磨すれば、みんな成長していく……こんなレールが敷かれているんです。
でもね、競争で頭一つ抜きん出て得られる安心や喜びは、長続きしません。
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