​『ためしてガッテン』を眺める理由

今回はNHKの長寿番組『ガッテン!』について。人知れず番組名が変わっていたのですが、『ためしてガッテン』のことです。今回は、武田砂鉄さんが『ガッテン!』に見出した希少性について論じます。


番組名が『ガッテン!』に変わった

そもそも、『ためしてガッテン』という番組名ではなく、2016年から『ガッテン!』に番組名が変わったことさえ知らない人が多いのかもしれないが、この番組をぼーっと眺めるのが好きだ。便秘でなくても便秘の仕組みを眺め、頻尿でなくても頻尿の仕組みを眺める。与えられる情報が役立つのも確かだが、それよりも、どんな話題であろうと、一定に保たれるテンションが心地よい。低くはない、ただし高すぎないテンションで、疑問・調査・発見・報告が繰り返されていく。

「騒ぎすぎない」のさじ加減

夜間頻尿とふくらはぎのむくみの関係を取り上げた回では、ふくらはぎが「第二の膀胱」だったという劇的な展開にさすがに前のめりになったのだが、先にも言ったように、こちらは夜間頻尿に悩まされているわけではない。そうだったのか、と前のめりになったのは、逆説的かもしれないが、いつも同じテンションでいるからなのだ。だからこそ、前のめりになるかならないかをこっちで選び抜ける。これ以上騒ぐとうるさいと多くの人が思うであろう2歩手前くらいのボリュームに、興奮の最大値を設定している。司会の立川志の輔とNHKアナウンサー小野文恵による、テンションの管理が巧妙である。

毎回、スタジオには数名のゲストが登場し、視聴者の代わりに困惑と驚きを投じていくのだが、何回かに1回登場する大島麻衣が、この投てきのスペシャリストだと踏んでいる。かつてAKB48にいた方で、他の番組ではあまり見かけないのだが、この番組ではすっかり定着している。情報を受け止める側でありながら、その場をスムーズにまわしていく役割を果たす。こういった番組のゲストは、その場のテンションの最大値を担わされることが多いが、大島の役割には、バケツリレーでスムーズに消火活動に臨んでいくような連帯感がある。その過不足ない働きを、視聴者である自分は、やはり、ぼーっと無表情で眺めている。

20代の30%近くはちっともテレビを見ない
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2020-10-22

この連載について

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ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

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365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

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コメント

s_hakase 『ためしてガッテン』を眺める理由|武田砂鉄 @takedasatetsu | 3日前 replyretweetfavorite

akizo9 ガッテンは、たまに登場する美術さんの気合いが入りすぎたセットも見どころ(今どきあそこまでギミックのあるセットはレア)/『ためしてガッテン』を眺める理由|武田砂鉄 @takedasatetsu | 3ヶ月前 replyretweetfavorite

picarinn 『ためしてガッテン』を眺める理由|武田砂鉄 @takedasatetsu | 3ヶ月前 replyretweetfavorite

1952r_s 相変わらず するど 楽しい武田節に ガッテン! https://t.co/OTd66D566K 3ヶ月前 replyretweetfavorite