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こんにちは。カメラ関係のメーカーに勤務しています。
去年から新人教育担当に任命されて、新卒の後輩の指導をしています。
真面目で僕の言うことよく聞いてくれる後輩で楽といえば楽なのですが たまにイラっとしてしまいます。
後輩は自分で考えることがあまり得意じゃないのかな?という感じで まずは好きなように進めていいよ。失敗してもフォローするよと いっても悩んで固まってしまい、手取り足取り丁寧に指示してやっと 取り掛かります。例えるならサッカーのゴールポスト 50cm手前にパスを出してようやくシュートを打つような感じです。
僕は人にあれこれ言われて仕事するのが好きじゃなく、 指示ばかり聞いてるだけだと絶対面白くならないと思うので 後輩の態度にイラっときてしまいます。
ただ、怒りたくはないのでなるべくいつもの同じ感じでいようと 思うのですが、やっぱり接し方が冷たくなってしまっていると思います。
一年目でわからないのはしかたないと思っても やっぱり後輩にイラっとしてしまい、自分の心の小ささにも嫌になります。
後輩に上手く仕事を覚えてほしいし、自分もやさしくありたいと思うので アドバイスをお願い致します。
カメラ関係のメーカーに就職しましたが、カメラには全くと いっていいほど興味ありませんでした。待遇で入社を決めました。 ただ、幡野の影響で最近一眼カメラを買いました。 写真楽しいです。ありがとうございます。
(幡野ファン2級 26歳 男性)
まずそのペンネームなんだけど、「幡野ファン2級」という壊滅的に恥ずかしいペンネームの指摘を、第三者がするわけじゃなくて幡野本人が指摘せざるをえない状況に追い込んだ自覚はありますか?
べつに怒ってるわけじゃないですよ、そんなことで怒るほど暇じゃなければ元気でもありませんから。ただね、恥ずかしいんですよ。内心では喜んでいて赤面して、恥ずかしいというわけじゃなくて、ただただ純粋に恥ずかしいんですよ。
これをスルーして第三者に指摘されれば、ぼくは傷口に塩を塗られるんですよ、だからぼくはいま自分で塩を塗っています、しみますよ。2級というのが上級なのか下級なのかよくわからないし、それでいて「幡野の影響で最近一眼カメラを買いました」という突然の呼び捨て。
ここはカメラ2級というペンネームにして、幡野“さん”の影響で……でしょう。ごちゃ混ぜにして幡野2級の影響で……じゃダメですよ、棋士じゃないんだから。大丈夫です、顔は笑顔です。笑いながら怒ってるわけじゃなくて、ただ笑いながら書いています。
あなたはこれでもう似たような失敗を繰り返さないとおもうんですよ。あなたのためであるし、ぼくのためでもあるし、これからあなたがファンになる人のためでもあります。たいしたことではないのだけど、このペンネームと呼び捨てにしたのはやっぱり失敗なんですよ。
いや、わかってます。大丈夫、わかってますよ。呼び捨てにしたのは単純にタイプミスでしょう。ただ次からおなじことを繰り返さないように気をつけますよね。これが失敗する一番のメリットだとぼくはおもうんですよ。つまり成長するんです。
ちいさい失敗はちいさく成長して、おおきな失敗はおおきく成長します。ぼくだって仕事でもプライベートでも失敗だらけですよ。とくに仕事は失敗だらけで、人生が嫌になるほどよく怒られていました。撮影業界って怒りっぽい人がおおいんですよ。
失敗をしてきたから、いまの自分がいるとおもっています。だから人はどんどん失敗をしたほうがいいとおもっています。誰だって失敗はしたくないんだろうけど、失敗をしない方法が挑戦をしないということになってしまうとよくないです。
あなたの後輩さんみたいに、ゴールの手前50cmにボールを用意してあげないといけないような人っているんですよ。これはちょっと仕方ないことなのかなっておもいます。だって失敗を許さない社会じゃないですか。失敗はすべて自業自得ということになって、周囲から叩かれるわけですよ。
そういうリスクを見て、挑戦したくないって若者がいてもなんら不思議じゃありません。実際に大学生ぐらいの若い子と会話するとどことなく感じるけど、失敗が怖い……怖いというか、失敗はありえないぐらいの価値観になっている子がいたりします。ぼくからすれば失敗は成長という価値観だけど、もう全く価値観が違うんですよ。
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