cakes読者のみなさま、こんにちは。
旅はおあずけ、人と会う回数も減り、気がつくと同じような日常がどんどん過ぎてしまう。刺激や実感の乏しい年だったからこそ、野菜や果物の旬にいつも以上に敏感になったような気がします。小さなパックに入った緑の実山椒は初夏の入り口、あ、枝豆登場、もうすぐ夏本番か。すいかや桃の明るい甘さに盛り上がっていたら、いつのまにか果物棚は澄んだグリーンのシャインマスカットの嵐。やがてぶどう軍団が消えたなと思ったら、ネットに入ったこっくり茶色の栗、きのこ、薄緑の銀杏、赤紫のさつまいもが登場。そうやって店頭に並ぶ色の変化を見るだけでも、季節はしっかり巡っているんだなと知らされます。たとえ遠くへ旅に出なくても。
そういえば、今年は野菜売り場で買い物をする男性客が少し増えたようにも感じます。自分で買い物をすると料理の仕方も違ってくるから、これはいい流れだと思う。料理ほどジェンダーレスでエイジレスな分野はないと思うから。それに、料理って作ってすぐに結果が出るし、独断でいいねもダメねも下せる。そういう機会って、大人になると実はあまりないのかもしれません。
寒い時期が旬の野菜は、甘みをしっかり蓄えるのが得意。カリフラワーもそうです。冬の野菜の代表格である大根や白菜に比べるとややマイナーではありますが、キャベツなどと同じアブラナ科の野菜なので特有の旨味や甘味があり、ぽりぽりと歯ごたえもいい。新鮮なものなら、私は生がおすすめ。今回は呑めるサラダにしました。茹でる必要がないので、あっという間にできます。
ちなみに、カリフラワーを切るときはお尻からがスムーズ。もこもこをひっくり返して、軸の真ん中あたりからすっと包丁を入れ、ある程度刃が入ったら、後は亀裂に沿ってゆっくり開く。するときれいに割れます。下まで包丁を入れないで裂くほうが、まな板の上にカリフラワーの白い破片がぽろぽろと散らばらないので後片付けもラク。あの白いつぶつぶ、地味に厄介なんですよね。
さらに小さく切るときは、軸から小房を切り取る感じで。今回のように生で食べる場合は、薄めに切ると食べやすい。軸も、いや、軸にこそ甘味や旨味があるので、これも全部薄切りに。ちなみに、ときどきうっすら紫色を帯びているものもありますが、これはポリフェノールの一種、アントシアニンが冷気に反応して現れるものだから、全く問題なしです。真っ白なブロッコリーも潔くていいけど、白にうっすら紫が入っている様子もまた美しい。並べるだけでも絵になります。
生の味わいを引き立てるソースは、ベーコンとにんにくが香ばしいオイル。アンチョビを隠し味に加えると、お酒がすすむ味になります。アンチョビ、あんまり使わないという人は、チューブ型のペーストがおすすめ。最近は輸入食材店でもよく見かけます。
チューブはペーストを押し出すだけで扱いやすいし、使う量の調節もしやすい。もちろん発酵調味料なので長期保存がききます。
では、パパッと作っていきましょう。
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「ぽりぽり生カリフラワーのベーコンアンチョビソース」
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