ちょっと困ったお客さん
いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。
ジョン・チーヴァーの小説を読んでいたら、こんなシーンがありました。ずいぶん酔っぱらった父親が息子と一緒にNYのお洒落なレストランに入ります。そして、テーブルに通された父親が「パチン」と指を鳴らしてボーイを呼ぼうとしました。するとその「パチン」に怒ったレストランの人間が「貴殿は私どものレストランのお客さまではないようです」と言って、店から追い出してしまったんです。
僕は「そうかあ。やっぱりあの『パチン』には怒っても良いんだ」と知り、それからはお店であの「パチン」をやられても、無視をして気がつかないフリをしています。
同様に「お兄さん」って呼ばれても無視をして気がつかないフリをしています。呼ばれたことないのですが、「大将」って呼ばれてもたぶん無視すると思います。
この話を同業者の女性に話すと、「わかる! 私も『ママ』って呼ばれたら『すいません。ママはやめて下さい』って言うことにしてるもん」と盛り上がります。
「パチン」の人も「お兄さん」の人も「ママ」の人も、別に悪気はないのはもちろん理解しています。たぶん、そういう場所ではそういう風に呼ぶのが良いことなんだろうとどこかで学習してしまったのでしょう。
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