ワインは嗜好品です。
だから「おいしい」か「まずい」かは、個人の好き嫌いに大きく左右されると思います。
ただ、もしもワインの「おいしい」を定義するならば、「バランスがいいワイン」ということです。
つまり酸味が強すぎるとか、甘すぎるとか、果実味がくどすぎるとか、“すぎる”ところがない。なにかの味が出っ張っていたり、凹んだりしていないワインです。
だからワインに対する味覚にいまいち自信が持てない人でも、(酸っぱいな)とか(甘ったるいな)などと感じることなく、自然でバランスが良いと感じたら、「おいしいね」と言っていいと思います。
ただ、一口に「おいしい」といっても、「おいしい」には段階があります。
その事実がワインを飲む人たちに、やや緊張感を持たせているようです。
味覚というものは、年齢を重ねていく過程でどんどん変わっていくものですよね。
たとえば小学生の頃はハンバーグやグラタンのような「わかりやすくおいしいもの」で満足していた人も、大人になってからはあん肝だったり、しめ鯖だったり、酢の物だったり、「わかりにくくおいしいもの」を好むようになる人も多いかと思います。
ワインにも同様に「わかりやすくおいしいワイン」と「わかりにくくおいしいワイン」があります。
「わかりやすくおいしいワイン」は、子どもでもおいしさがわかりそうな感じ(飲ませちゃダメですが)で、つまりジュースっぽかったり、ちょっと甘かったりするわけですが、一般的な傾向として「わかりやすくおいしいワイン」の価格はリーズナブルです。
反対に、舌の経験値をある程度積まなければ良さがわからない「わかりにくくおいしいワイン」というのは、たいてい高級ワインの部類に入ります。
つまりビギナーがいきなり飲んでも、そのワインの良さがよくわからなくて、もったいない。
二十歳のときに訳もわからず【ラ・ターシュ】を口にした筆者と同じ状態になります。
つまり、ワインに慣れていない人は、たいていジュースっぽい、やや甘い「わかりやすくおいしいワイン」を、おいしいって感じます。
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