【登場人物】
清田隆之
桃山商事・代表
1980年生まれの文筆業
森田雄飛
桃山商事・専務
同じく1980年生まれの会社員
ワッコ
桃山商事・係長
1987年生まれの会社員
生理中のパートナーへの「神対応」とは!?
清田 桃山商事の恋バナ連載、今回も引き続き「生理」をテーマに語っていきます。
森田 ニコ生番組への投稿では、「生理だと言ってるのに、遠出や遅い時間のデートを提案された」といった声も目立ったよね。
清田 自分もかつて恋人と旅行していたとき、生理中の相手を延々歩かせてしまったことがあるので偉そうなことは言えませんが……心身のコンディションへの配慮が全然ないのはきついよね。
ワッコ 察してもらえないのつらい……。ただ、一律的に「生理なら予定を全部キャンセルしよう」みたいに言われるのもちょっと違うと思うし、難しいですね。
森田 なるほど。
ワッコ 生理の期間って人それぞれだし、仮に一週間だとして、その間ずっと辛いわけじゃないんですよ。遠出が平気な日も全然ある。でも、本当に辛い時は遠出とかは実際無理。そういう緩急があるっていうのを意外と男性は知らないかも。
森田 0か1かの思い込みって、自分の中にもある気がする……。
ワッコ 生理中セックスするか問題でも、「期間中は絶対だめ」という人もいれば、そうではない人もいたり。あと、生理自体よりもPMS[※]の方が辛い人もいますよね。
※PMS…月経前症候群。生理前に起こる心やからだの不調。個人差があるが、月経前の3~10日の間にイライラや情緒不安定、下腹部痛や頭痛、むくみ、肌荒れなどが起こる。
清田 個人差が大きい問題だから、どう対応すればいいかはそのつど相手に聞いてみなきゃわからないってことだよね。
森田 例えば30代の「あやめ」さんは、ニコ生への投稿で次のように書いていた。
生理中に怒りやすくなると思われ、避けられがちですが、逆に体が弱っているから甘えたくなるんです。恋人に避けられると、悲しくなります。パートナーが生理で苦しんでいる時は優しくハグしてあげて、鉄分補給に焼き鳥のレバーでも食べさせて元気付けてあげましょう!
ワッコ 「何が神対応なのか問題」ですね。
清田 「避ける」という積極的な意思があるかはわからないけれど、「そっとしとこう」とか「求められたら何かしよう」みたいな放置系の対応を取る男性は少なくないような気がするね。
森田 「そっとしておく」って、対応のコストとしてはほぼゼロだから選択しやすいんだよなぁ……自分の行動を思い返してみても、その理屈を都合よく使ってしまっていた気がする。
ワッコ うーん。でもそれが「神対応」の場合もあるかも。そういう意見の投稿もいくつかありましたよね。
彼氏が家に来た日に、生理になってしまいました。彼は泊まる気満々でしたが、しんどいので「生理でしんどいから今日は帰って」と言いました。すると彼は「え、何で? しんどい時こそ一緒にいてあげたい。違う?」と言い、結局泊まって行きました。その後、彼とは価値観が合わなくなり私から別れを切り出しました。(「おめぐ」さん 31歳)
清田 なるほど、きついときには放っておいて欲しいというのは、さっきとは対照的な意見だね。
森田 彼に悪気はないんだろうけど、自分のイズムに付き合わせようとしているところが気になった。「一緒にいてあげたい」っていうのは完全に彼目線の欲求だし、自分に酔ってる感じもする。
ワッコ 本当に生理がきつい時に誰かと一緒に寝るのがストレスなのはわかります。「シーツ汚しちゃったりしたら恥ずかしいな」とか考えちゃうし。さっきの2つのコメントでわかるようにどうして欲しいかは人によって違うし、その日によってしんどさも変わるので、やはり相手に相談するが吉かもですね。
森田 あとは、「察してくれないパートナー」に対してイライラするケースもあるようで…….
今の夫と同棲を始めた頃、シングルベッドに2人で寝ていました。ある日の就寝中、生理痛で眠れなくて彼も「大丈夫?」と心配してくれたのですが、「狭いベッドで生理痛に耐えるのがしんどい」と伝えてベッドから出ました。そのまま彼は寝てしまい、結局私はリビングの床で生理痛が治まるまで横になっていました。今ならベッドを譲ってほしいと直接言えるのですが、当時は彼が察することを期待していたのでかなりイライラしたのを覚えています。(「チビ」さん)
清田 さっきの「おめぐ」さんの場合は「帰って」を真に受けた方がよかったわけだけど、このシチュエーションで彼女の「ベッドから出る」という行動を「そうしたいんだな」とそのまま解釈するのはどうなんだろうか。体調がしんどい人にとって、「柔らかい床より硬い床の方がいい」ってことはあんまりないような気もするし……。例えば熱が出てる人に対して同じ対応は絶対しないでしょ。
森田 すごいシンプルに言うと、パートナーの体調が悪くなったときにどう振る舞うか、という話だよね。彼女自身は「察することを期待していた」と言っているけれど、直接的に要求できなかったのは遠慮の気持ちがあったからだと思う。発熱のように明確な指標があるわけではないし、病気ではないと自分でわかっているから、要求することが「わがまま」に感じられたんじゃないかな。
ワッコ こういうことが別れるきっかけになることもありそうですよね。
森田 ちなみに彼女は、夫に生理やPMSのことを話すようになり、今では彼も理解ある行動をしてくれるようになったとのことです。おそらくこれは、相手が理解してくれているという安心感が要求を言いやすい心理状態にする、という話でもあると思う。