人間としても女としても、中途半端なままで一生終えていくのか
スイスイさん、はじめまして。
Twitterで書籍発売イベントの対談を見つけ、あなたの存在を知り、悩めるアラサー女の一人として、『"すべての女子はメンヘラである』を読ませていただきました。
とても素晴らしい内容で人の話を聞くことを職業としている私にとって大変勉強になりましたし、メンヘラ気質の私にとっても、もっと自分のことを知りたい。知った上で上手に生きたい。幸せになりたい!と思わせてくれるものでした。
ありがとうございました。
さて、この度はスイスイさんに私の相談にお付き合いいただきたくメッセージを送ります。
分かっているのに踏み出せない、決断ができない私は変われますか? 幸せになれますか? ということです。
私には現在3年半付き合っている彼氏がいます。
彼からすでにプロポーズされており、そのときの私はそれを承諾しました。
ところが、母親から
「結婚には反対ではないが、あなた(私)が正規で働けるようになってからにしなさい」
と言われ、その時に結婚することは叶いませんでした。その後、彼と同棲をはじめ(実家が嫌になり半分飛び出してきた)ましたが、仕事・家事・趣味の両立が上手くいきませんでした。
彼も連れて実家に戻ることを選択し、籍も入れずに実家で同居するという奇妙な経験もしました。いまは私の中で重きを置いていた趣味を辞め、実家を出て彼と二人で暮らしています。
……という経緯がありながら、私は彼を裏切りました。
彼ではない男性(Aさんと仮定する)と関係を持ち、結果彼にバレてしまいました。
Aさんは私のことをセフレだと思っていたと思いますが、私は本当に好きでした。
Aさんと関係を持つことはいけないことだとわかっていました。
でも、自分を止められませんでした。Aさんは私の悩みにとことん付き合ってくれ、真っ直ぐに向き合ってくれる人でしたが、他にセフレがいるようなことも言っていたので、好きで惹かれるけど、彼と別れてAさんに本気でアプローチする勇気が私にはありませんでした。
「仮にアプローチが成功して、Aさんと付き合えたとして将来あるのかな...?」
と思ったし、漠然と「幸せになれない予感」がしました。彼に関係がバレてからAさんは、
「裏切りを許してくれた彼氏を大切にしろ」
と言い、たまに連絡をしてしまう私に
「二度と連絡はしてくるな、人としてどうなの」
と半ば呆れられています。私のお付き合いしている彼はとてもいい人です。
私史上、最大級にいい人だと思います。
私のことをすごく大切にしてくれます。
私のメンヘラな部分も受け止めてくれます。
仕事に対しても本当に熱心で尊敬しています。
彼は私の家族のことも理解してくれます。
私は彼の家族との関係も良好です。
彼の包み込み感がハンパないです。
包容力の塊です。
彼と結婚したら何不自由なく、このまま安定した日々が送れると確信しています。
だから、私はそんな彼を手放すのが怖いです。しかし、他の人のことを考えている自分が自分の気持ちを偽り続け、このまま彼と一緒にいるのは違うと思います。
こんなに私を大切にしてくれている彼に対して失礼だとも思います。また、ここでこのままなんとなく流されて「いまの彼と別れる、結婚しない」という決断ができなかったら、私は人間としても女としても、中途半端なままで一生終えていくのだと思っています。
だから、彼ときちんと話し合って区切りをつけて、次に進むべきだとわかっています。私は元々、自分のことを把握できていない、自尊感情が低い人間です。
なので、まずはいまの自分を知るために、「死ぬまでにやりたいこと100」を書きました。
そこで、やはり私は私に誠実で素直でありたいのだと、他人に対しても真っ当でありたいのだと再認識しました。
こうあるべきだ、と呪いをかけられているような気もします。話が脱線してしまいましたが、彼の居心地の良さや約束された将来から抜け出しきれず、大事なことに向き合いきれていません。
でも、自分の性格上、もう彼へ申し訳ない気持ちを誤魔化しきれないし、Aさんにもぶつかりきらないと(Aさんが取り合ってくれるかは別として)自分の気持ちの収拾がつかないこともわかっています。
わかっているなら後は行動するのみ!ということが、答えだと重々承知な案件ではありますが、どうかこの機会なので、スイスイさんに直接相談させていただきたいです。
(ちより・27歳・女)
〈わかっているのに踏み出せない、決断ができない私は変われますか? 幸せになれますか?〉
と、自分で色々わかってると思い込んでるみたいだけど。あなたは一番大事なことを「わかってない」気がしてしまう。
あなたの望む「幸せ」になれるかどうかでいえば、もちろんなれると思う。
ただし、そのためにまず手を付けるべき問題は「この彼氏と離れるべきかどうか」じゃない。
言うまでもなく「Aさんを諦めるべきかどうか」でもない。
その2つは悩みの枝葉に過ぎない。
あなたが何より先に成敗すべき問題は、もっともっと根深い。
そしてその問題は広く広くあなたの思考と生活に根を張っている。
もったいぶったけどその問題とは……、「お母さんとの関係性をどうするか」です。
これから続く回答、あなたにとってはすべて想定外かもしれない。
さらに言えば、私がどれだけ言葉を尽くしてもこの親子関係は変えられないかも……と思い、この相談に回答するか最後まで迷った。
理由は後ほど説明するが、それほどに強固な関係だと思う。
だけど、
〈私は元々、自分のことを把握できていない、自尊感情が低い人間です〉
というあなたの一文を読んだとき、「そんなことないわ!」と、いても立ってもいられなくなった。
あなたが彼と別れられない原因は、「あなたの意思の弱さ」ではなく「お母さんのキャラ(影響力)の強さ」です。
その影響さえ断ち切れば、自分で自分を把握できるし、自分を大事にできると思う。
どうか信じて最後まで読んでみて欲しい。
“奇妙な体験”
あなたとお母さんの、強固すぎる関係について。
相談文から抜粋した以下数行にほとんどの違和感ポイントが網羅されている。
〈ところが、母親から「結婚には反対ではないが、あなた(私)が正規で働けるようになってからにしなさい」と言われ、その時に結婚することは叶いませんでした。
その後、彼と同棲をはじめ(実家が嫌になり半分飛び出してきた)ましたが、仕事・家事・趣味の両立が上手くいきませんでした。
彼も連れて実家に戻ることを選択し、籍も入れずに実家で同居するという奇妙な経験もしました〉
ここから感じる違和感は2つ。
①お母さんの変化球すぎ提案に対する家族の従順さ
②〈奇妙な体験〉という書き振り
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