その人を知りたければ、その人が何に対して怒りを感じるかを知れ

今回、蘭ちゃんが書いていた『HUNTER×HUNTER』という漫画のキャラクターたちは「念能力」という6種類のパワーを使って戦います。さて、この交換日記の2人は、どの能力なのか? 蘭ちゃんは「強化系」で、サクちゃんは「操作系」に分類されるのではないかと思います。どうでしょう? 連載第29回(毎週火曜日更新)です。

サクちゃんへ

こんにちは。

このあいだのメンタルの不調は乗り越えましたが、その後別のメンタルの不調の波がやってきて、そしてまたそれをも乗り越えたところです。
こんな波なんども乗り越えているのに、襲われているときにはすっかり忘れてあたふたしてしまうんですよね。はあ、しんどかった。

ー・-・-

前回のサクちゃんの日記では、「怒り」について書かれていましたね。

「怒りは、大事なものが傷つけられたときに起こる感情だと聞いたことがあります。怒るのは、大事なものがある証拠です。自分を傷つけられたときに怒らないのは、自分を大事にしていないということになります。だから、ちゃんと怒れるようになりたいです」

この文章を読んで、漫画『HUNTER×HUNTER』1巻に出てくるセリフを思い出しました。
「その人を知りたければ、その人が何に対して怒りを感じるかを知れ」
中学生の頃にこのセリフを読んで感銘を受けて以来、わたしのなかで「怒り」は大事な感情のひとつです。

わたしの場合、「不機嫌」と「怒る」は別物としてとらえていて、「不機嫌」は自分の消化不良による感情のダダ漏れであり、「怒る」は意思をもって採るコミュニケーション手段だと思っています。
もちろんわたし自身、不機嫌になることも怒ることもあるのですが、反省するのはいつも「不機嫌」のとき。不機嫌になってしまったことで、「ああーなんてわたしは未熟なんだろう」と頭を抱えることは多々あるのですが、怒ることで反省したことはあまりありません。わたし自身が心を決めて、わたしのために怒っているからです。

とかっこよく言いましたが、わたしは器が小さいので、わりとよく怒ります。
どんなことで怒るのかというと、卑近な例ばかりなのでちょっと恥ずかしいですが、たとえばこんなことです。

ちゃんとした理由もないのに毎回待ち合わせに遅刻してこられると怒ります。
時間をかけてわたしがゼロからつくったものを、後出しジャンケンでけなされると怒ります。
企画やアイデアに、代替案も労いの言葉もなく文句ばかり言われると怒ります。
真剣に話しているときに、聞いてくれないと怒ります。
昔、デートの約束を直前にならないと決められない彼氏に、「そんなにわたし暇じゃないよ」と怒ったこともありました。

それら全部に共通することは、「自分の時間を軽んじられること」です。

つまり、わたしにとって一番大事なものは「時間」なんですね。
「時間=命」だと思っているので、自分の時間をないがしろにされると、自分自身がないがしろにされているような気持ちになります。
もちろん、わたしの周りの人たちはみな良い人なので、わざと「こいつの時間をないがしろにしてやろう」としているわけではありません。わたしが時間を大事にしているのだということを、または今まさにわたしが「時間をないがしろにされている」と感じているのだということを、知らないだけなのです。

だから、そういうときにわたしは怒ります。言い方はさまざまで、冷静に言ったり、やんわり言ったり、あるいはびしっと、きーっと言ったり。そこは関係性や状況によりますが、ともかく怒ります。
なぜなら彼らのことを嫌いになりたくないから。失いたくないから。これからもずっと気持ちよく一緒にいたいから。
本当は怒らないほうが楽なんだけど、怒りを感じているということは傷ついているということなので、それを表明し伝えることを自分に許して(課して?)います。

だから、できたらわたしの大事な人たちにも、わたしにちゃんと怒ってほしい。
怒られるのは苦手ですが、彼らがわたしを嫌いになるよりは、わたしが無意識に彼らを傷つけるよりは、ずっとずっとましです。
怒られてやっと、「そうか、この人はこれをすごく大事にしているんだ。わたしはそれをないがしろにしていたんだ」と気づける。それは良いことだと思っています。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
サクちゃん蘭ちゃんのそもそも交換日記

土門蘭 /桜林直子

東京でクッキー屋さんをしている「桜林直子(サクちゃん)」と、京都で小説家として文章を書く「土門蘭(蘭ちゃん)」は、生活も仕事も違うふたりの女性。この連載は、そんなふたりの交換日記です。ふたりが気が合うのは、彼女たちに世界の「そもそも」...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

Diachan_now 良すぎてスクショとりまくった 2ヶ月前 replyretweetfavorite

10ricedar これは、「なぜこの人を好きになれないのか」という答えになりそう 実践してみたら附に落ちた 2ヶ月前 replyretweetfavorite

fujikokoni 怒り、ついつい抑えがちなんだよな…そして噴火するか自分を焼く「怒りを感じているということは傷ついているということなので、それを表明し伝えることを自分に許して(課して?)います。」https://t.co/E6XHu3WdfN 2ヶ月前 replyretweetfavorite