観ました。韓国ドラマ「愛の不時着」。えっ、今ごろ!? はい、今ごろ。
韓国の財閥令嬢で起業家のユン・セリが、パラグライダーの事故で北朝鮮に不時着。偶然出会った将校リ・ジョンヒョクにかくまってもらい、さまざまな危機を乗り越えながら、愛を育んでいく物語です。
2019年12月から今年2月まで韓国のケーブルテレビで放送され、歴代視聴率1位を記録。日本では今年2月にNetflixで公開され、一躍話題に。9月になった今も日本総合1位と、改めてブームになっている感があります。
実は、ずっと観るのを躊躇していました。というのも、いわゆる大ヒット作は自分には大味もしくは薄味と感じられることが多く、このドラマもそうなのでは……という不安があったからです。
同じくNetflixで話題になり、この連載でも記事にした「全裸監督」は大好きだけど、あれは万人受けとはいいがたい問題作だったし……とか、「愛の不時着」は1時間15分×16話と長いし……とか。
それでも重い腰を上げる気になったのは、映画好きかつ信頼している女友達(Netflix未加入)が、「自分の周りでも共感している女性は多いよ」と話していたから。
さらに、男性にはまだ観ていない人も多そうなので、このドラマが多くの女性に支持されている理由や見どころを自分なりに伝えることができるかも、と思ったからです。
思っていた内容と全然違った!
というわけで、全16話、2週間かけて完走しました。
結論から言うと。「現代の働く女性が男性に何をされるとグッとくるか」を知りたい男性は、今すぐ観てください! 女性が男性からされると嬉しいことが、具体的なエピソードと共にギュッと詰まっています。
というと、女の勝手な願望を叶える話か……と思うかもしれません。正直、そのケはなくもない。ツッコミどころは多いです。が、そこは女性にパワーと癒しを与える作品にするためにそうしたんだろうな、とも思います。でないと、本当に重たいドラマになってしまうから。
というのも、この作品、タイトルの印象とは裏腹に、恋愛だけを描くドラマではないのです。第1話を観てまず思ったのは、思っていた内容と全然違う!ということ。ヒロインのセリと義母の会話にやるせなくなり、ぶっちゃけ恋愛よりも、この冷え切った母娘関係がどんな風に融解していくのが気になりました。
メインはセリとジョンヒョクの恋物語。ですが、その裏には、母娘の確執とそれぞれの孤独、父と息子の溝、兄弟や親友の死、北朝鮮の全体主義、汚職と復讐、子供の貧困など、シビアなテーマが散りばめられています。そんなドラマを、次も観ようと視聴者に思わせるには、ある程度のドリーム展開や非現実的な設定は必要。
なので、長身イケメンかつ仕事熱心で村の女性が皆ウットリしているリ・ジョンヒョクが、セリに出会うまで女っ気なし人生だったことを「ありえない」と思ってはいけないのです。
親の決めた婚約者がいるとはいえ遊ばれてもいいわと寄ってくる女性は絶対いるはず、いくら北朝鮮の人々が古風な考え方を持っているとしても、いや持っているからこそ!と、ツッコんではいけないのです!!
危機が来るたび助けてくれるジョンヒョクにセリと共にキュンキュンしながら 「私も不時着したい——!!」と悶えるのが正しい楽しみ方です(たぶん)。
男性はここをウォッチすべし!
いや、それは女性目線の話だろう、男はどう観ればいいのさ?という声にお応えすると。美人で仕事ができるがプライドも高く本気の恋愛はしたことがなかった女社長・セリが、堅物の将校ジョンヒョクによって、どんな風に救われ、愛するに至るか、をウォッチすべし! です。