どうも。
最近、はまっていることがありまして……
タカラヅカのグッズに、スター付箋なるものがあるんですけど(イケメン付箋のタカラヅカスター版)。
それを各スター全て一つずつ買って、一つ一つの吹き出しに、「たそ、仕事頑張って」とか、「諦めないで」とか、自分にかけて欲しい言葉を書いて至る所に張りまくり、スターさんに囲まれながら楽しくテレワークするっていう……
うわ、こいつ、来ることまで来たなって思ったでしょ。
そうだよ、来たんだよ(ケロリとしている)。
さあ、今日も私の大好きなスターたちが頑張れと言っている! 頑張ろう! ゴー♪
残暑(ではない。とも言いきれない)の怪談
2020年9月、まだまだ暑い日々に、未だに思い出すだけで背筋が凍る怪談話を一つ。
前話より時は遡り、研究科5年生の頃、真飛聖(まとぶ・せい)さんがトップスターとして主演された『虞美人(ぐびじん)』の新人公演でのこと。
私は、宋義(そうぎ)という役を演じることになった。本役は、悠真倫(ゆうま・りん)さん。
宋義は、『天空の城ラピュタ』の将軍のような、高圧的且つイヤミ的な人物で、
ざっくりいうと、進軍の途中、46日間も安陽(あんよう、という土地)に留まり、飢えて凍えている兵士たちを他所に夜な夜な宴を開く嫌な武将。
真飛さん演じる項羽に、
「お前なんぞ上司(この時代の上司って何て言い方ですかね……)でも何でもないわー!!(こんなことは言っていない)」
と、一気に切り殺される、という役だ(ざっくりだから。ざっくり説明しただけだから……)。
そして、宋義は、紅林(こうりん)という稚児を大層可愛がっている……という役どころだった。
この、紅林を新人公演で、同期の鞠花(まりか)ゆめが演じることになった。
ゆめは、歌、ダンス、芝居なんでも万能に熟し、日本舞踊で名取を持っていて、書道も嗜み……兎に角どこをとっても有能な、「頼れるお姉さん」的存在だ。
いつも、ぼへらーと生きていた私をグイグイと引っ張ってくれていた。
更には、芸事に限らず様々な分野への探求心がものすごくあり、1度何かにハマるととことん突き詰めていくストイックさも持ち合わせていた。
そんな彼女は当時、「トマトジュース(及びトマト)」に大層ハマっており、トマトの種類が充実しているレストランや、レアなトマトジュースを取り寄せては、
「トマト嫌いなたそでも飲めるから! 飲んでみて!!」
と、紙コップに注いだトマジュ―を手に(もはや断れない状態)やや強引に勧められたりしていた。
そんな、「頼れるお姉さん」を、「20歳以上年下の稚児」として可愛がる日が来ようとは。
兎に角、しっかりと役を務めなければ……。
私は今までに無い程の覚悟を決めた。
そして迎えた新人公演本番、私は奈落(舞台の真下のスペース)でたった一人、戦々恐々と震えていた。
なぜなら、出番が人生初のセリ上がり(舞台の床の一部が昇降する)で、その後台本見開き1ページ(凡そ24行くらい)の長台詞が待っていたからである。
こんなに見せ場があるのは初めてだったこともあり、私以外、舞台の進行さん一人しかいない暗闇で、とり憑かれたようにブツブツとセリフを唱えながら出番を待っていた。
すると、「え?! 今?!」というタイミングでセリが上がっていった。
あまりにも緊張して何も聞こえなくなっている。
こんなに緊張している自分と対面するのは初めてだった。
気づけば脳内は、今まで考えてきた役作りも、演技プランも何もなく、ただただ
「緊張してテンパってます」
状態だった。 それでも、時は過ぎて行く。
私はギリギリの状態で新人公演初主演の鳳真由(おおとり・まゆ)さんとセリフを往来させた。
そして、見開き1ページのセリフのターンがやってきた……
長台詞の1行目を越えたあたりで、私の精神は緊張から来るパニックの頂点を迎えた……
そして、頭の中は一辺深い霧に包まれた……
(ヤバイ………なんだっけ、次………)
頭の中はまさに真っ白な状態だった。
この後、どんなシチュエーションでどんなことを伝えなければいけないか、何もかもわからなくなってしまった。
てんぱりMaxな私は、なんと……
最初の1行目から最後の1行目まで一気にセリフをすっとばした。
長セリフの途中、ゆめが演じる紅林に巻物を渡し、読み上げてもらうというやり取りがあった。
鳳さんが歌うパートがあった。
外で野放しにしている兵士たちは、鳳さんが歌うタイミングで私の周りを囲むはずだった。
のにも関わらずそれらすべてをぶっ飛ばし、1人勝手に完結させてしまった。
(あ~………………やっちまった~…………………)