大学三年の秋、私は人生で初めて男女の仲良しグループができた。
中学の頃からの片思いを引きずる男友達と、彼氏との関係を断ち切れない女友達と、恋愛感情がまだ分からない私。バイト仲間だった。
男友達が例の片思いしている子と海外旅行に行ったことが仲良くなるきっかけだった。
「泊まりで旅行なんて両想いじゃん。ちゃんとゴム持って行きなよ。でもまだ童貞キャラ貫いて欲しいけど」
「あの子は思わせぶりだから、実際何も起こらないと思うけど」
「お土産楽しみにしてるね」
旅行前にこんな会話を彼としていた。
だけど日本に帰ってきた彼は旅行後とは思えないほど落ち込んでいて、 「本当に何も無かった」と私に告げた。 だから、バイト先の近所の公園で反省会という名の飲み会をした。
私と女友達と彼、三人でいつメンなんてグループLINEも作った。
「勉強会」とか「飲みに行こうよ」とか「遊ぼうよ」とか、いろんな理由で三人で出かけた。
失恋した後は一人でいたくないから、遊びたかったらしい。
三人でいるのは当たり前になっていた。
毎日のようにバイトで顔を合わせ、暇な時はチャット。さらに時間があれば出かけた。
三人で二泊三日の旅行にも行った。
男っぽい女友達と彼は、夜には下ネタで盛り上がるようなノリで、私だけ仲間外れ。
「私だけ付いていけない」
「お前はピュアだから分からないままでいいの」
そこで女友達は「過保護かよ」とつっこむ。
旅行前に、女友達から「彼のことが好き」と言われていた。
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