愛の告白を後押ししたのは、勇気ではなく「絶望」だった

前回、勇気を出す経験を積むため、好きな人に告白しようと決意した下田美咲さん。恋愛感情がないと誤解される前に、なんとか告白すべくタイムリミットを設けた下田さんでしたが、その日は突然やってきました。

「好きな人への愛の告白って、どうしたら実行できるの……?! そのために必要な分だけの勇気って、どうしたら手に入るの……? 無理なんだけど!!!! 実行できる気が1mmもしないぞ!!!」

そう思い悩み続けながら、一向に勇気を出す方法を見つけられずにいた私が、その年のバレンタイン(タイムリミット!!!)が迫る1月の末に、人生初の告白に踏み切ることができたのは、勇気を出せたからでも何でもなかった。

「好きです」の一言を放つことができたキッカケは、なんと絶望だった。

彼がデートを寝バックレした

例の先輩に相談をして「勇気はね、出すしかないんだよ!」というシンプルすぎる回答が返ってきて途方に暮れた後、私は今度は手当り次第に、周囲へのアンケートを取っていた。

主に、告白経験やナンパ経験があるような人を中心に「その時って、どのくらいの勇気を使ったの? どうやってその勇気を出したの?!」などと訊いて訊いて訊きまくったのだ。

しかし、肉食な彼ら・彼女らの回答は、理性の塊みたいな私からすると、ただただ意味不明だった。

「気付いたら言ってた」「先のことは何も考えずに言ってた」「まあ、振られたら振られたでいいかなって」「ノリ」「数打ちゃ当たるっしょ!」「なんとなく」的なものばかりで、参考になるような回答は1つもなかった。

驚くべきことに、どうやら彼らは異性に告白をしたり口説いたりする際に、さほど勇気を使っていない様子だった。私からしたらそれは衝撃的すぎるし、本当に意味が分からない。同じ人間とは思えない。

そうして「ああ、もう根本的に私とは別の種類の生き物だ。気付いたらって何!!!? 理性は?!!! なんでそんなにも感情に飲み込まれることができるの?! 生きるのが楽そうで羨ましいぞ!! まあ、そういうところが友達としては大好きだよ! 私と別の生き物すぎて面白いのよ君たち!」という結論に至り、告白をするための情報収集としては撃沈に終わった。

そしていよいよ完全に八方塞がりとなった私。

「一体どうしたものか。このままだとバレンタインになってしまうけれど、告白を実行するための手立てが何も見つからない…」と、完全に行き詰まりつつ、とりあえず彼との距離(他人から見たら「いや、早く告白しろよ」という状況でしかない、イイ感じの間柄)を維持しながら暮らすことに全精力を注ぐ日々が続いていた。

そんな中で、告白の日は突然に訪れた。

キッカケは、久しぶりのデートを、彼が寝バックレしたことだった。

"お酒のトラブル"は日常茶飯事だった

実はその日は、初めて、彼の方から誘ってくれてデートをすることになっていた日だった。それまでの3ヶ月間、週の半分以上を彼の家で寝起きし、クリスマスも年越しも一緒に過ごすなど、かなり親密に過ごしてきたものの、私がかなり前のめりだったこともあり(だってプロジェクトだから。ミッションだから)、すべての展開は私が作っていた。

そんな中で、前のめりな私を越えて、彼の方から「今度の休み、遊ぼう!昼間から何か楽しいことをしよう!」と言い出してくれて、彼キッカケでデートの約束をしていたのが、その日だった。そのことによって私は初めて「もしかしたら、彼もまんざらでもないのかもしれない。告白をしたら付き合えるかもしれない」という希望を抱くようになっていた。恋のフラグが立っている、と思えた特別な出来事だった。

が、しかし、いざその日が近づいてきて「明日どうする?」という連絡をしたところ、前夜から音信不通な状態が続き、やっと連絡が取れたのは、なんとデートをする予定だった日の夕方(ほぼ夜)だった。寝坊にもほどがある。

彼の説明によると、前日、お世話になっている先輩がらみの飲み会があり、それがだいぶハードで、そこで完全に潰れてしまい「今、目覚めました…本当にごめんなさい…」とのことだった。

とはいえ、それ自体は、ごくごく彼らしい出来事だった。

というのも、私たちの共通の趣味はお酒を飲んで盛り上がり倒すことであり、その盛り上がり方は一般的に尋常ではないものだった。

私は片想いの3ヶ月の間に、彼の家で寝ゲロをして布団を一組ダメにするという大事件を起こしていたし、彼を含めた大人数でカラオケで飲んで騒いでいた際の朝方に、潰れている彼の膝を枕にして寝ていたら、彼が失禁をして、ともにビショ濡れになったこともあった。

彼は相当なパリピだったため、飲み会の後に携帯を失くしていて連絡が取れないことや、バッグごと紛失をしていることなど、"お酒のトラブル"は日常茶飯事だった。

だから、お酒が原因の行き過ぎた失敗なんていうのは、お互いに見慣れたものだった。なんといっても、私は彼の家の布団をダメにしている。それと比べると、全ての失敗が軽症ですらある。

なのだけど、その日は、まず私自身が久しぶりのデートをあまりにも楽しみにしていたために落胆が大きかったこと、そして私にとってそのデートは「もしかしたら両想いかもしれない」という根拠だったため、その唯一の希望を打ち砕かれてしまったことで、一気に絶望に転落してしまったのだった。

諦めた瞬間に出てきた言葉

寝バックレされて怒っているとかではなくて、悟ってしまったのだった。

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下田美咲のあまりにも泥臭い生きざま

下田美咲

4冊の書籍を刊行し、エッセイストとして活躍している下田美咲さん。cakesの人気連載「下田美咲の口説き方」では、ロジカルを極めた持論を展開し、下田さんのことを「美人で頭が良くて人生イージモード」と思っている人も少なくありません。しかし...もっと読む

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コメント

SK7FISH 諦めるって、事実をつまびらかにすることが原義だとか。遅かったとか、そういうことが明確になってから動けることもあるよね。 4ヶ月前 replyretweetfavorite

shimodamisaki 1位だーーー😍😍😍😍‼️ 4ヶ月前 replyretweetfavorite

shimodamisaki 面白いから読んで👶👶👶👶 4ヶ月前 replyretweetfavorite