ビジネス書の隠喩力
ああ、そういう風に置き換えてもらえると理解しやすい!
例文は『ホモデウス』という主にビジネスマン向けの本から抜粋したもの。
前作(『サピエンス全史』)から続き、この本も人気になった理由は、内容の面白さだけではなく、著者の「文章表現のうまさ」にもあると思います。
特に、ここで使われている「巫女」「代理人」「君主」というメタファーは、ほんとに秀逸です。
まず、グーグルやフェイスブック、あるいはカーナビなどのアルゴリズムは、私たちに「こういう行動をとったほうがうまくいくんじゃないですか?」と提案してくれる「巫女」のような役割を担っている、と言います。
さらに、あなたがそれを「巫女」として信用するようになれば、それは次に、目的さえ伝えれば、あとはその目的に向かって勝手に行動してくれる「代理人」となる。
ユーザーから数えきれないほどのデータを収集し続けているアルゴリズムは、やがて途方もない力をもつようになる。あなたよりも「知る」ようになる。
するともう、あなたの欲求を先回りして、あなたを操作する側に回って、決定を下しはじめるかもしれない。
というわけで、みんなが同じ「巫女」を利用し、信頼すれば、それは「君主」になる可能性があるんだと。
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