コロナで無収入。同居の母から暴言。家を出たいのにお金がない

新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの人が職を失って苦しんでいます。今回、牧村さんのもとには「実家で母親から暴言を受けていて辛いが、コロナでお金がないから家を出られない」と悩む方からの相談が寄せられました。負のスパイラルから抜け出せずに苦しんでいる投稿者さんに対して、牧村さんは具体的な解決策をアドバイスするとともに、力強い言葉をおくります。

※牧村さんに聞いてみたいことやこの連載に対する感想がある方は、応募フォームを通じてお送りください! HN・匿名でもかまいません。/バナー写真撮影:田中舞 着物スタイリング:渡部あや

毎週水曜朝10時、「ハッピーエンドに殺されない」。

「実家がいばらの城すぎて毎日トゲが痛いんですけど」という人の脱出作戦を考えるにあたり、「王子様に助け出してもらってハッピーエンド〜❤️」……というのが、王道ならぬ姫の道でした。けれどそれだと、実際王子の正体がやべえやつだった場合、やべえことになるんですよね。人間、結婚後に豹変しがち。

ということで、王子を待たないシンデレラ。綺麗だけど走りづらすぎるガラスの靴を捨て、たとえ裸足ででも走っていける自分でありたいわねっていう作戦会議をしております。そこで必ずぶち当たる問題。それが、

「家を出たいのに金がない」

です。

この世、マジでこわい。人に金を出して支配することを愛と呼ぶ空気がある。

「親のお金で進学させてもらっているんだから感謝して親の言う通りの進路を行きなさい。」

「夫のお金で生活させてもらっているんだから感謝して従順に尽くしなさい。」

そ・れ・が・愛❤️ 絆❤️ 家族❤️ 国家❤️ 感謝〜❤️❤️❤️
(↑任意のメロディをつけて歌ってください)

金がある人が、金のない人を思い通りに動かす。

その支配から逃れられないよう、間違っても賃上げ要求とか休業補償要求とかしてこないよう、事実上年収100万円台におさめさせている仕組みを、こんなにも優しい言葉で呼んでいる……「扶養」と。

え、マジで?実話?そういう仕組みを組む側の政治家が「家族は互いに助け合わなければならない」とか憲法に書こうとしてるの完全にホラーじゃない?ディストピアSFじゃない?

家を離れたら生活が成り立たないからって理由で耐え続けている人にも「改正日本国憲法第24条!家族で助け合いましょうね☺️それが日本人の美しい伝統だから……✨」とか言うつもりなの?

税金取るだけ取っておいて「家庭内の事情は家庭内の助け合いでなんとかしてくださいね。大丈夫、収入を自立できないレベルに低く抑えていただければ、助け合う扶養家族として認めて税金安くしてあげますよ……✨」って、え、大丈夫?国家レベルの経済DVじゃない?

ステイホーム(隠語)。

マジでGo To どこにも行けないキャンペーン。実際これがアニメとかSF小説だったら考察のしがいがあるよなって思うけど、これ、実話なんですよね。カーッ。

ハッピーエンドに殺されない

頭、使っていきましょう。この支配からの卒業。今回は、読者の方からいただいた、「コロナで無収入になってるし父親の扶養内でしか稼げないんだけど母親に言葉で殴られ続けてるので家を出たい」というおたよりをご紹介します。

牧村さん、はじめまして。 最近はRadiotalkの「おやすみ前の女の話」で牧村さんのお声を聴いてから寝るのが習慣になっています。 今日は、負のスパイラルから抜け出したいと思って、思い切って牧村さんに相談文を送りました。

牧村さんがいつもおっしゃっている「“不幸な私”という安心できる殻に閉じこもり続けるのはやめよう。そこから抜け出してあなたの人生を次のページに進めよう」という言葉が大好きです。 大好きなのですが、とても辛いです。 抜け出すための方法が全く見つからないからです。

私は、精神的にも身体的にも母親から暴力を受けてきました。大学を中退し、いまは通信制の大学で勉強しながらアルバイトとして働いています。

父は典型的なモラハラにより、母を相当苦しめていました。私たちきょうだいに対しても、選り好みして、贔屓する子と蔑視する子とで明らかに対応を変え、分断していました。

本当は、恨むべき相手は父親なのでしょうが、自分に直接手を上げた母のことを強く強く憎んでいます。母からの身体的な暴力はもうありませんが、言葉での攻撃は毎日のようにあります。

「正社員にもなれずアルバイトだなんて恥ずかしい」
「あんたの職場の同僚もしょせんアルバイトなんだから馬鹿なやつらに決まってる」
「世間知らずのあんたには一人暮らしなんて無理」
「実家暮らしのくせに親に家賃も払わないなんて最低だ」
「わざわざ高い美容院に行ってあたしの嫌いな髪型にするなんて気に食わない」、、、

息をするように私の人格・仕事・外見を罵倒してこられるのに、もう疲れてしまいました。実家を離れて一人暮らしをしたいです。

ですが、負のスパイラルに嵌って抜け出すことができません。

一番の要因は、お金がないことです。

いまコロナウイルスの影響で職場が休業しており、給料ゼロの状態が数ヶ月続いています。 引っ越し費用、部屋の契約金、毎月の家賃…、そういったものを準備することができず、途方に暮れています。 お金がないので、心理カウンセリングを受けることも諦めています。 本当はまず一番にカウンセリングを受けたいのですが、なんといってもお金が足りません。 また、私はADHDの傾向が強いためか部屋の片付けがとても苦手です。引っ越しするために本当は清掃業者を呼びたいのですが、お金がないためできません。 それから、通信制の大学を卒業して「大卒者」になれたあと大学院進学を目指しているのですが、父親の所得税が高くなってはいけないということで、父親の扶養内(年間103万円以下)でしか稼ぐことができず、貯金が難しい状態です。 扶養内で進学費用を貯めながら、なおかつ一人暮らしの生活費、加えてカウンセリング料を支払うというのは、どうやっても無理です。

言い訳ばかりで自分でも呆れます。 もう、どうすればいいのか分かりません。 相談できる友人も恋人もおらず、頼れる他者がいません。 地方自治体の生活相談窓口も、コロナウイルスの影響で混み合っているみたいで、相談できませんでした。

毎日毎日、母から罵倒されたり、それに言い返す自分の汚い声を聞いたりして、心がとても疲れました。 これからも続くのかと思うと苦しいです。もっと楽に生きたいです。 牧村さんがおっしゃっている“不幸な私”に閉じこもっているだけの人間を、もうやめたいです。

(全文拝読の上、個人特定を避けるために編集して掲載しました)

に……

逃〜〜〜〜げ〜〜〜〜〜〜〜て〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!

お母さんのはけ口にされてますよね。自覚、おありだと思いますけど。

父は母を、母は子を、ストレスのはけ口にしてるんですよ。

上司 → 父 → 母 → 上の子 → 下の子 → 下の子のクラスの中で立場が弱い子

こういう感じの暴力連鎖、マジでもうこれ以上見たくないよね。どう考えても逃げるのが最優先だと思います。

学業は後からでもできます。

もっと言うと、学問は学術機関に所属しなくてもできます。あと、目指してる院の応募要項をよ〜〜く読んでみてください。別に大卒じゃなくても、所定の資格審査で入れるところはたくさんあります。それまでは、公共図書館で無料ででも学問できますよ。間違いない、学費を払えなくて大学除籍になったけど高卒のまま文筆家として本を書いて大学入試問題に二度採用された牧村朝子が言うんだから間違いない。通信制大学を一度休学してでも、牧村朝子だったらまずは一人暮らしを目指しますね。あ、待って、今のYAZAWAっぽく言いたい。「MAKIMURAだったら脱出するかな。」よし。そしたらもうね、カウンセリング必要ないくらい回復する可能性まであると思う。今の環境、いくらなんでもダメージデカすぎ。

図書館、近所にありますか。無料で本が読めるでしょ。税金についての本を借りてきてみてください、できるだけ新しいやつ。

読めば、ごめんなさい、はっきり言いますけどね、あなたがご家族にだまされているということがわかると思いますよ。

「父親の扶養を外れないように103万円以下でしか稼ぐことができない」?

本当ですか? それ、自分で調べてみましょうよ、生きた勉強です。わたしもお金のプロじゃないけど、この国の制度で生きる人としてちょっとやってみますね、間違いがあったらごめんね。

個人特定を避けるためにぼかして書きますが、ご投稿者の方は23歳以上。ということは特定扶養親族として認められませんから、仮に扶養内におさめたとしても、控除される所得税額は、年額38万円です。年額ですよ。38万円。12で割って月額にするといくらですか。約3万円でしょ?

月々、3万円。1ヶ月を30日としたら1日約1000円。あなたの自由は500円玉2枚で、家族に、国家に買われているんですよ。あなたは1日500円玉2枚で、父 → 母 → 子どものストレスはけ口スパイラルに組み込まれている。公的支援は受けられていない。税金は取られている。っていうかむしろ、その税制度と家制度によってこそ、あなたは囲い込まれている。そう思うとめちゃくちゃ腹が立ちませんか?ま—じで、バッッッッッカにすんじゃねえよって思いませんか?わたしは思う。超キレてるよ。

わたしだったら世帯分離届を出しますね。提出ついでに、役所の窓口で「同居の母親に精神的DVを受け続けているのでしかるべき窓口につないでください」と言い、cakesに書いてくださったような母親発言集と子ども時代の暴力の事実を報告書としてプリントアウトして印鑑押して自分直通の連絡先書いて提出しておきます。たとえ受け取ってもらえなくても、書類を見せつつ担当者につながれるまで徹底的に粘ります。

昭和は一家共通の黒電話しかなかったので、家から公共に助けを求めても家に連絡来ちゃってもっとヤバイことになる可能性があったけど、令和はスマホの番号書いておけば確実に自分あてに連絡くるからな。母親のことをチクって突き出せって言ってるんじゃなくて、いずれは母親もしかるべき支援につながることができるようにって言ってます。わたしの目には、お母さまも各種の支援を必要としている人に見える。ちょっと、あの、域を外れた暴言ですもんね。傷つくというよりは心配するレベル。「大丈夫……?」ってなる

ま、とにかく、まずは自分だ。
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ハッピーエンドに殺されない

牧村朝子

性のことは、人生のこと。フランスでの国際同性結婚や、アメリカでのLGBTsコミュニティ取材などを経て、愛と性のことについて書き続ける文筆家の牧村朝子さんが、cakes読者のみなさんからの投稿に答えます。2014年から、200件を超える...もっと読む

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27yo41785 @nomice___34 久しぶり。突然ごめんね コラムで参考になるやつと、シェルターのurl https://t.co/aETLGtGOLg https://t.co/RiGxGtpuED 申請方法がわからなかったら法的手続き心… https://t.co/EFnyGSEAxW 8日前 replyretweetfavorite

aurora77712 そういう時こそ都会のシェアハウスへ!初期費用3万円で家具付き物件あります。 約2ヶ月前 replyretweetfavorite

siena_flat そう。シンデレラなんか目指しちゃいかん。はだしのゲンを目指せ。 約2ヶ月前 replyretweetfavorite