感情労働」が起こす複雑な心理

マレーシアの接客は日本と比べるとずいぶんといい加減で、日本のような丁寧さがないそうです。しかし、それにも関わらず、マレーシアに長期滞在中の野本響子さんは、この感じが居心地がよいのだと言います。いったいどうしてでしょうか?

マレーシア人が日本に行き感激するのは、素晴らしい接客です。

コンビニに行っても、安い居酒屋に行っても、まるで一流ホテルのように、気持ちよく接客してもらえると言うのです。

逆に、マレーシアにきた日本人は、店員さんがケータイで話しながらやる気なさそうに接客してるのをみて、ショックを受けたりします。

高級ホテルや高いレストランは別ですが、安食堂での接客はまず期待できないです。「値段なり」なんです。

やる気なさそうにレジ打ってる人とかフツーですし、ケータイ見たり、お喋りしてたりします。

ところが、これに慣れてしまうと、日本に帰ってから安いのにテンションの高い接客を見ると、なんだか落ち着かないんですね。

私は日本にいたときも、マニュアル風の丁寧な接客が苦手で、店主がテキトーにやっている店の方が居心地良かったようです。

これはなんでなんだろう?と不思議でした。

最近気付いたのですが、このサービス形態、「感情労働」と呼ばれるんだそうです。

「感情労働」とは、たとえば、笑いたくないのに、笑顔を見せなければならない、など、自分が本来抱く感情とは別の感情を表出させなければならない労働を意味する。「感情労働」に従事する職種としては、客室乗務員やホテルの従業員などのサービス業が典型だが、いわゆる「おもてなし業」以外でも、看護師、介護士、コールセンターのオペレーター、苦情処理係、銀行員、医師など、どんどんとその職種は広がっている。
感情労働に従事する人は、客のどんな非常識なクレームや嫌がらせに対しても、自分の感情を押し殺し、礼儀正しく振る舞うことが要求される。こうした感情の抑圧や忍耐が知らず知らずのうちに、ストレスの原因となっていることがあるということだ。
https://toyokeizai.net/articles/-/229405

私自身、コールセンターやウエイトレスなどの接客業をさんざんやって、この「感情の押し殺し」を経験してきました。


「感情偽装」すると病むのはなぜか

仕事以外でも同じです。

行きたくもない飲み会に行って、「つまらないな。早く帰りたいな」って思っても、「どーしたの、楽しんでないの、笑顔見せて」とか言われたりすると、なんか辛いです。みんなでFacebookの写真撮るから笑って!と言われて、楽しくもないのに笑顔を作ってると、自分が嫌になってくる。

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怒らない力—マレーシアで教わったこと

野本響子

編集者・ライターの野本響子さんがマレーシアで暮らし始めて感じたのは、日本にくらべて驚くほど寛容なマレーシアの社会。「迷惑は掛け合うのが当たり前」「怒る人ほど損をする」など、日本の常識からしたら驚くことばかり。 この連載では、そんなマレ...もっと読む

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amamtar_ . 〜マニュアル風の丁寧な接客が苦手で、店主がテキトーにやっている店の方が居心地良かった〜 わかるなあ。特に整体とか美容室とか触れられるサービスは顕著に感じる。 とってつけたような接客やマナーは、かゆいんだよなあ。 https://t.co/vRtFhYJolG 5ヶ月前 replyretweetfavorite

nanasibunka |怒らない力ーーマレーシアで教わったこと|野本響子|cakes(ケイクス) 肉体労働、精神労働、そして‥‥ https://t.co/Z52T0zLOQ5 5ヶ月前 replyretweetfavorite

eri_forest これか…原因はこれだったのか! 5ヶ月前 replyretweetfavorite

aoi_tsumu まさに。 >海外のそっけないサービスにホッとするのは、大衆的な場所での「感情労働」を見なくて済むから。 5ヶ月前 replyretweetfavorite