心と行動を近づけるために、知るべき4つの要素

最近の交換日記は「人生をもっとよくするための大切なこと」であふれていて、もう、ここで、なにも加えることはありません。読みやすくて、ためになって、まわりの人にやさしくなれる。そんなサクちゃんの文章だから、みんな、とにかく読めばいいさ。それよりも、サクちゃんはコックさんの格好が似合わないらしいよ! おもしろいね!連載第16回。(毎週火曜日更新)

蘭ちゃんへ

こんにちは!
今日の東京は30度をこえる夏日です。梅雨もいやだけど(わたしも頭痛持ちで、特に雨の日に痛くなるので)、夏の暑い日も苦手なので慄いています。

すこしずつ外出する機会も増えましたが、人がたくさんいる場所ではやはりちょっと緊張します。また人混みに慣れる日が来るのかな、と思うと気が遠くなります。変化に慣れるのってほんとに疲れちゃうよね。

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蘭ちゃんのセブンルールを聞けてうれしいです。ルールの中からその人が何を大事にしているかが浮かび上がってきて、おもしろいよね。蘭ちゃんのルールもとっても蘭ちゃんらしいなと思いました。

最後のルールに「1日の最後に、誰にも読まれない日記を書く」というのがあったけど、たしかに書くためにすごく大事なことだなと思いつつ、わたしは根が暗いので、嫌なことばかり出てきてしまって眠れなくなりそう……。

根が暗いといえば、わたしのルールを見返すと、どれも「こうなるといやだから」とか「困らないように」と決めたルールばかりです。前向きなように見えて、いつもまず「いやなこと」を見つけて、それを裏返して「じゃあどうするか」と考えて、することを決めていました。

セブンルールの放送はもう2年半ほど前なので、蘭ちゃんが聞いてくれたように、あれからルールは変わってきているかもしれません。(当時のルールはこちら

根が暗いのはそう変わらないけど(しかたないわね)、「困らないため」だけにやっていることはどうしても楽しくはありません。「困っていない状態」になるために「できるけど、楽しくない」ことをするのも、自分をたすけるために必要な段階だったけど、そしてなんだかんだいつも困っているのも事実ではあるけど、そろそろそのやり方はやめたいなと思うようになりました。この前の蘭ちゃんの日記に書いてあったように、わたしも、自分をよろこばせることをしたいと思っています。

そして、「できるし、楽しい」と思えることが「雑談」です。

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「やってみよう」とはじめてみるのが人生で初めてだと人に話すと、「今までどうやってきたの?」と驚かれるので、たしかに今まで何をしてきたんだろうと、すこし振り返ってみました。

チャレンジとか憧れなどのない20代に何をしていたのかというと、18歳から22歳までは父の介護、23歳からは子育て(シングルマザー)をしていたので、時間も心も経済的にも余裕がなくて、やりたいことをやってみる環境ではなかったのだと思います。

心の向くままになにかをしてみたり、失敗したり、恋愛に夢中になったり、失敗したり、意味はないけど無駄に過ごす楽しい時間や、うまくいかなくてもがいて悔しくなるような経験をするのが20代の正しい時間の使い方だとすると、わたしはどれもしてこなかった。やらなきゃいけないことの邪魔になるからと、心がうごくことを徹底的に避けていたように思います。

通常30〜40代で経験することを、わたしの場合は10代後半〜20代でしていたので、今になって、まるでその時間を取り戻そうとしているようです。大学生のように「仕事ってなんだろうね?」と考えたり、友達と楽しい時間を過ごしたり、自分のためにお金を使ったりしているのは、「もう心が動いても大丈夫だよ」と許可できるようになったのかもしれません。

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それから、「これをやろう」と自分で決めてやりはじめてみて、もうひとつ気が付いたことがあります。

今まで「別にやりたくてやってるわけじゃないんだよな」という気持ちでしてきたことが、ちゃんとできるし、誰かに迷惑をかけることはなかったけど、どれだけ失礼なことだったかがわかりました。

会社員としても経営者としても、リスクと責任はとっていても、どこか「誰かのため」と人ごとで、自分自身と行動の間に距離がありました。気持ちが近くにないのは、関わる人に対して失礼なことだよなと思います。そんな当たり前のことにも気がつかなかったのかと我ながら呆れてしまいますが、これも、長年心がうごかないようにしてきた副作用のような気もします。心と行動を切り離して考えるクセがついてしまったんだなと。

自分で「やりたいからやる」と決めて行動するとき、必要なのは責任ではなく、覚悟なのだと知りました。そこに飛び込む勇気と、飛び込んだ後も心と行動を近づけていくには、「断固として変わらない覚悟」ではなくて、「決め続けて変わり続ける覚悟」が必要なのだと思います。その覚悟に、人は「一緒にやりたい」とか「助けになりたい」と引き寄せられるのではないかな。

最近はそんなことを考えていました。それをわたしの新しいルールにするとしたら、「心と行動を近づける」かな。

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蘭ちゃんが質問してくれた「雑談」を仕事にしようとしたときのきっかけは何だったのか?というのにもつながるのだけど、この仕事をしようと決める手前に「時間の使い方やお金の稼ぎ方を変えないと」と思ったのは、さっきも書いたように、仕事と自分の間に距離があるなと感じたからでした。「できるけどやりたくない」ことをしていると気が付いたのです。

そのことに気が付いたのは、「やりたいことがないのはどうしてだろう?」と考えはじめたのがきっかけでした。

たくさんの人に話を聞くことで、「やりたいこと」というぼんやりざっくりした言葉を分解しながら、解像度を上げて見ることができました。そうすることではじめて、「なにかがちがう」と、こちらもまたぼんやりしていた違和感を、何が足りなくて、どこを変えればいいのか、明確に言葉にすることができました。

「やりたいこと」というのは

・自分がよろこぶこと(単純な欲)
・もともと持っている性格や性質
・できること
・時間やお金の使い方

この4つの要素の掛け合わせで、どれかだけを極端に満たしても、他の何かが満たされていないと「やりたいことができていない」と感じるのではないかなと思います。

バランスが悪い部分を満たしながら、ずっと調整し続けて、ちょうどいいやり方を見つけていくのだろうなと。

だから、「やりたいことを見つける」というのは、単に職業を決めることではなくて、自分の中のこの4つの要素をよく知ることが先だと思います。

それはもちろんひとりずつちがうオリジナルなので、他人と比べても仕方がないとわかるし、まだ何もしていない20代のはじめ(就職活動時)に一発で決めることなんてできないのだとわかります。

ただ、経験がなくても、逆に歳を重ねてからでも、この4つの要素を正直に嘘がないように過不足なく出せた方が、何をするか決めるときに自分と行動がズレが少ないものを選べるので、「心と行動を近づける」「思っていないことをしない」ためにも、何歳だろうと自分の要素を知って、アップデートし続ける必要があると思います。

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わたしの場合は「自分がよろこぶこと」が極端に欠けていて、かつ、シングルマザーだということもあって「時間とお金」の制限や条件がきびしく、とてもバランスが悪い偏った状態で進んできました。

仕方がなかったとしても、今からでもバランスをとるために変えられることは努力しようと思うので、仕事や生活の中に「自分がよろこぶこと」を増やそうとしているところです。

それで、今のところ4つの要素を満たせるのが「雑談を仕事にする」です。

「雑談」を仕事にしようとした「たまたま」は、ひとつのきっかけというよりも、たくさんの人の話を聞いたことと、自分のあたまでたくさん考えたあれこれが重なった「たまたま」という感じです。

人に会って話すことが「たまたま」を生むいちばんの近道で、「あのときのあれが、今こうなった!」という偶然のよろこびまでの種になると思うので、「雑談」をすることで誰かの中に種をちいさく蒔き続けることができたらいいなという気持ちもあります。

わたしがそうだったように、その最中はしんどいし、わからないけど、あとから「あのときの経験があってよかったな」と思えるように、長い目で見たり、解像度を上げたり、視野の広げかたと絞りかたのお手伝いをしているのかもしれないな(これも最中なのでよくわからない)。

蘭ちゃんは、心と行動が近くにありますか?4つの要素のバランスについても聞いてみたいです。ややこしく簡単ではないテーマだけど、なにか思うところがあれば、なんでも、教えてください。

それでは、またね。

サクちゃんより

追伸:「フランソア喫茶室」すてきだね。今度一緒に行こうね。そういえばわたしはなぜか制服を着たことがなくて(中学高校も私服だった)、かわいい制服を着るアルバイトに憧れがあります。唯一着た制服は、コックコートでした(あまり似合わなかったです)。

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サクちゃん蘭ちゃんのそもそも交換日記

土門蘭 /桜林直子

東京でクッキー屋さんをしている「桜林直子(サクちゃん)」と、京都で小説家として文章を書く「土門蘭(蘭ちゃん)」は、生活も仕事も違うふたりの女性。この連載は、そんなふたりの交換日記です。ふたりが気が合うのは、彼女たちに世界の「そもそも」...もっと読む

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