呪いの言葉に毒される前に、呪いの仕組みを知っておいてください

宗教にハマった母親と亡くなった父親、そして幼少期から植え付けられた宗教によって、身動きが取れなくなってしまった相談者。恋人との将来を悲観する相談者に、幡野広志さんはどのように答えるのでしょうか。

※幡野広志さんへ相談を募集しています。専用フォーム(匿名可)からご応募ください。

宗教と家族についての悩みです。幡野さんはどうお考えになるか、知りたくて、投稿させていただきました。筆力がなく、心の絡まりをご説明するのに前置きが長くなってしまい、すみません。

私の母は、私が生まれる前から宗教に入っています。
父は全く宗教を信じてはいませんでしたが、母と家族でいるために渋々入っていました。
ふたりは傷つけあって、結局父は亡くなりました。

息を吸うように宗教を教えられて、私はずっと母の味方でした。父と仲良く話せば、母に、あんたは父の味方なのかとなじられました。幼い頃はそれが怖く、大きくなってからは、アルコール漬けで目をぎらぎらさせながら私が一番傷つくことを選んで言う父親が怖く、ほとんど父とは話しませんでした。

父が死んでから、母は、父が死んだのは自分のせいではないかという考えにとらわれ、毎日私に、「私のせいだろうか、そうじゃないよね?」と聞くようになりました。その頃未成年だった私は、母の心が壊れるのが怖く、違うよ、悪いのは父の方だった、と、毎日母に言い聞かせました。

するとある日、母は少し明るい顔で、宗教の方で相性を見てもらったら、父は母を破壊し、私が父を破壊するという相性だったと報告してきました。「あんたが私を守ってくれたんだね、腑に落ちて、心が軽くなった」、と言いました。ああ、この人は罪の意識から逃れるために、私が父を殺したと思いたいのだろうか、私が毎日かけた言葉には、何の意味もなかったんだ、と冷静に思う一方で、自分の父への態度を思い返すと、母が言う、その相性というのもあながち間違ってはいないのではないかとも思い、怖くなりました。私は自分を守りたい一心で、父のことは何も考えず、母の味方になったので。

そんな毎日で、このまま母といると、自分の人生を生きられない、ずっと依存されて、無自覚に傷つけられて生きていくなんて嫌だと本気で思い、家を出ました。離れることで徐々に自由を勝ち取りながら、母の好きだったところを思い出すこともありました。

けれど今、また選択をしなくてはならないなと思っています。結婚を考えるような恋人ができました。派手なところはないけれど、日常のちいさな嬉しさを共有できるような人です。
けれど母に話すと、その恋人と私の相性は、父と私の相性と全く同じで、私が恋人を破壊してしまうから決して結婚してはいけないと言われました。

ばかばかしい、また私を支配するつもりかと思う一方で、やはり、幼いころから教え込まれた宗教の威力や、徐々に暗い目付きの、酒を飲む塊みたいになっていった父を思いだし、もしかすると本当に恋人とはこれ以上深い関係になるべきではないのではないのではと思ってしまう自分もいます。

離れたい一方で、教え込まれた宗教から離れれば、なにか良くないことが起こるのではないか、なんて、本気で思っている部分がまだ私の中にあります。

冷静に物事を考えようとする自分と、幼いころから植え付けられた宗教が元になった論理的には説明できない怖れに左右される自分がいて、身動きがとれなくなってしまいました。

(サブレ)

しあわせになれますよ!!とか、救われますよ!!ってのが宗教のキャッチコピーみたいなもんだから、宗教で不幸になって苦しめられていたら本末転倒だよね。ぼくは信仰している特定の宗教ってないんですよ、でも無宗教かといえばそうではなくて、ゆるふわ仏教徒なんですよ。

死んだらきっとお寺で葬儀をして、お坊さんがお経を唱えてるときに、参列者は前の人の所作を真似してお焼香をするとおもうんですよね。お焼香ってトップバッターがいちばん緊張するよね。

結婚式では牧師なのか神父なのかも不明な、たぶん真相は英語講師の副業アルバイトにアーメンって誓っているぐらいだから、本当にただのゆるふわ仏教徒なの。意識低めな仏教徒だから、自分の宗派を知らないし、宗派の違いもわからないし、意識低め仏教徒葬儀パックとかあると助かるんだよなぁ。

ゆいいつの希望は、2人1組で熱々の骨を箸で拾って壺に入れる、参加者がいちばん緊張するアレを、トングに変えてほしいんだよね。トングってコンビニで肉まんをつかむやつね。できれば先端がシリコン製のなるべく短いトングにして、滑らないようにしてほしいんだよね。色は白と黒の葬式トーンでいいから。

あの世への「橋わたし」を「箸わたし」ってかけているのだとおもうけど、そこはダジャレじゃないくていいし、ダジャレにしてはみんな緊張しまくりだよね。力を抜いてゆるくふわっと骨をつかんでほしい。

悲しみにくれる妻と、まだ箸が苦手であろう息子が緊張しながら、ぼくの骨を長めの菜箸でつかむなんて、こっちが緊張しちゃってあの世から見てられないよ。なぜかノド仏だけさらされちゃうし、アレって誰得なの? 元狩猟者として注目してほしい骨は両顎のハマりかたと背骨のカーブですよ、どんだけ芸術的なんだ。

そんな意識低めな仏教徒だけど、どんな宗教であれ信じている人がいるものを否定するつもりは全くないんですよ。必要な人がいるのに、自分が不要だからといって排除するのは間違いだとおもってるからです。自分が不要なものを排除したり、倒産や廃業に無関心でいると、世界はどんどん狭いものになっていきますよね。

自分にとって不要なものが世の中にたくさん溢れているから、知らない世界と可能性が広がって、それに救われる人がたくさんいて、人の心も経済も豊かになっていくのだとおもいます。ぼくはアイドルのコンサートに行かないし、アイドルが解散しても困らないけど、だからといって不要だとはおもわないもん。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
幡野広志の、なんで僕に聞くんだろう。

幡野広志

写真家・幡野広志さんは、2017年に多発性骨髄腫という血液のガンを発症し、医師からあと3年の余命を宣告されました。その話を書いたブログは大きな反響を呼び、たくさんの応援の声が集まりました。想定外だったのは、なぜか一緒に人生相談もたくさ...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

neko_mura222 https://t.co/bMa0slFle2 2日前 replyretweetfavorite

kishioyade いやーたまらん https://t.co/Z50CaUPQmz 3日前 replyretweetfavorite

butter_on_cliff |幡野広志の、なんで僕に聞くんだろう。|幡野広志|cakes(ケイクス) お骨の話で笑っちゃった この人の文やっぱり好きだなぁ https://t.co/BXGWIGkjIW 3日前 replyretweetfavorite

tittyai69 言ってほしいことを言ってくれる宗教に救… https://t.co/r1r5AHvHMu 3日前 replyretweetfavorite