【登場人物】
清田隆之
桃山商事・代表
1980年生まれの文筆業
森田雄飛
桃山商事・専務
同じく1980年生まれの会社員
ワッコ
桃山商事・係長
1987年生まれの会社員
理想の女性に出会ってしまった……
清田 桃山商事の恋バナ連載、今回は中断していた「恋人の友達」というテーマを再開します。
ワッコ まだまだいろいろ語りがいがあるテーマですよね。
森田 これまで語っていない話題だと、恋人の友達のことを好きになってしまう展開はある種の王道かなと思う。
清田 ドラマとかでよくあるパターンだよね。それでいうと、知り合いの男性がカノジョの親友を紹介されたときに、「理想の女性に出会ってしまった」と思ったという話が頭に浮かんだ。
ワッコ おお。
清田 カノジョの親友であるその女性も、彼のことを「いいな」と思ったんだって。
ワッコ 運命感じちゃったんだ!
清田 彼は「どうしよう」と悩んだらしいんだけど、いかんともしがたく惹かれてしまったから、カノジョとは別れて親友のその女性にアプローチした。それで2人は正式にお付き合いすることになり、最終的には結婚したのよ。
ワッコ そんなドラマみたいな話が現実にあるんだ……。
森田 女性ふたりの友人関係はどうなったの?
清田 絶縁状態になってしまったみたい。彼と親友が付き合うことになったと知ったとき、彼女は怒り狂ったらしいんだけど。
ワッコ そうなりますよね。
清田 ふたりはそれ以前からうまくいかなくなっていたから、彼としては、遅かれ早かれ別れることにはなると感じていたみたいなんだけどね。でも彼女からしたら、彼と親友に「裏切られた」形になったわけだから、すごいショックを受けてしまったらしい。
森田 その一件がなくても別れていたような状況だったとはいえ、自分の親友と付き合われたらきついよね……。
ワッコ 普通に死ぬ。
清田 やっぱり、別れたのも「そのせい」だと思っちゃうよね。違ったとしても、違くねえだろって考えてしまうだろうし。
「略奪愛」の構造について
森田 そういえば俺の知り合いにも、友達の彼氏と付き合って結婚した女性がいる。そのふたりの場合はノリシロ期間があったみたいなんだけど。
清田 形としては浮気状態だったってことね。それこそドラマやマンガで繰り返し描かれてるイメージがある。
ワッコ いわゆる略奪愛ですよね。
清田 いろいろ端折ったら「略奪」になってしまう……本人たちからしたら、惹かれあってしまっただけっていうマインドなんだろうけど。
森田 奪うこと自体は目的ではなくて、結果論だもんね……。その夫婦の上の子供はもう高校生になってるから、「略奪愛」も今は昔という感じなんだけど、一緒にいるときとかに俺は二人の始まりのことをふと思い出すことがある。
ワッコ にしても、恋人の友達と付き合うことって、そんなにありがちなことなんですか!?
森田 恋人の友達と恋人当人は、赤の他人よりは価値観や雰囲気に共通してる部分があることが多いから、構造だけ見ればマッチングの可能性は意外と高いのかもしれない。
ワッコ バイブス合う人同士だからってことですか?
森田 そうそう。だからと言って、友達に恋人を紹介するなっていう話でもないんだけど。ただ、「出会う順番が違っていれば」みたいなことを言う人は、割とよくいる気がする。
清田 違う立場で出会ってたら好きになってたかも……みたいなことだよね。
ワッコ Jポップ!
清田 自分の感覚からすると、友達の恋人に会う時は自分の“オスみ”を完全消去でのぞむから、そういうマインド自体になりようがない気もするんだけど。
森田 それはどこの立場で考えるかで違ってくるんじゃないかな。清田も、自分の恋人といるときは、多少はオスみを出してるよね?
清田 たぶん。
森田 恋人の友達と会うのは基本的に「恋人といる時」なんだから、普段よりはオスみのある状態ってことになるんじゃない?
清田 それはつまり、恋人の友達が、オスみが出ている俺を「男」として見る可能性があるってこと?
森田 ……そう言われると、可能性は低そうだけど。
清田 ハシゴを外さないで(笑)。
森田 少なくとも、普通の友達として会う場合と比べたら、何か違うニュアンスを相手に与えるんじゃないかなとは思う。
ワッコ そういえば昔、わたしが彼氏と一緒にいるところに出くわした男友達が、わたしのことを「同じ人間とは思えない」と言ってきたことがあるんですよ。