就活、イヤすぎ。これは現実逃避でしょうか

今回、牧村さんのもとには就活がイヤすぎて拒絶反応を起こしてしまうという大学4年生の方からのお悩みが届きました。「就活がイヤすぎてこれからどうやって生きていけばいいのか分からない」と悩む相談者さん。牧村さんは彼女に優しく寄り添いながら、缶コーヒーCMの「宇宙人ジョーンズ」シリーズを引き合いに出して、就活の辛さから逃れる方法を考えていきます。

※牧村さんに聞いてみたいことやこの連載に対する感想がある方は、応募フォームを通じてお送りください! HN・匿名でもかまいません。/バナー写真撮影:田中舞 着物スタイリング:渡部あや

こんにちは。就職したことがありません。牧村朝子です。

毎週水曜朝10時、「ハッピーエンドに殺されない」。そろそろ3万本に迫ろうかというエッセイ・漫画・人生相談などが定額読み放題のこのサイト、cakesで、「人生こういう風にしてこそ幸せになれるんだぞ」という型に押し込められちゃたまんねえよな、自分の道を探そうぜというコンセプトで2014年から元気に連載を続けています。ハッピーエンドに殺されないぞお(元気)。

先週は「異性と対等なセックスがしたいのにな」というご相談を頂戴し、「同性が好きな僕になんで聞くんだろう」と一瞬幡野広志さんのパロディみたいなタイトルをつけそうになったのですが頑張って答えました。

でも今週は、うん、よくぞわたしに聞いてくれた、うれしい。

就活したくなさすぎ泣いた、でも仕事はしたい」というご相談です。

就活したくなさすぎて就活しなかったけど15歳から仕事しとるわたし(32歳)と一緒に考えていきましょう。こちらのご投稿です。

初めまして、こんにちは。高校生の頃からずっと連載を読ませていただいております。

私は二回目の大学四年生をしている女です。訳あって試験を受けられず、単位を落としてしまって秋卒業になりましたが、世間的には就活生です。

けど、就活、したくないです。今の時世や状況が、とかじゃなくてそれ以前から就活そのものが嫌だし、今も同じように嫌です。

就活の事を少しでも考えると辛くて仕方がなくて涙が止まらない事もあります。どうしてここまで嫌なのか、自分でも分からないくらいの拒絶反応を起こしているように思っています。一体就活の何がどうして嫌なのか、分かっているものもあるし、分からないままのものもある状態で、就活という行為そのものがもう自分の中で無理になったような気はします。

例えばスーツを着るのが嫌だとか、メイクをしなければならないのが嫌だとかは、何がどうして自分は嫌なのかが分かります。"女だからそうしなければならない"がかなり苦手だからです。けれど、そうは言ってもスーツは着れるしメイクはできるので、これだけで就活自体が無理になるとは到底思えません。

何も分からないまま、とにかくありとあらゆる就活関連のことから逃げ出したくて堪りません。今、就活関連の事は何も手がつかずに、先延ばしにしてしまったり、書類を出せていなかったり、結果的に外から見ると逃げている形にはなってしまっていると思いますが、自分の中では常にあれをやらなければ、これをやらなければと思い続けることになり、そこにとらわれたままです。

複数のタスクの管理が壊滅的に下手くそだし、締め切りは守れないし、面接は苦手だし、もう自分に就活という行為に対する適性がなさすぎるし、一人間として、こんなのでは、そもそもとんでもなく社会そのものに不適合なのでは、という気にしかなれません。

作品の提出締切や課題のレポートの締切は守れるのに、就活の応募書類や筆記試験には、手を付けなければならないと思い続けながら手を付ける事ができず、結局締切を過ぎてしまいます。締切が近づく度に、それをできず、他の事をしている自分になぜこんな事をしているのか、なぜそんな事もできないのか、と思います。

働きたくない訳ではなく、寧ろ働きたいと思っているのに、その働き先を探すという行為を強烈にしたくないという矛盾を引き起こしている事実が、もう大分しんどいです。

卒業できるものと思われる今年の2月に、一年生の頃からしていた前のアルバイトを解雇されていたので、留年が決まった後に新しいアルバイトを探さなければならず、探す、探してる、と言いながら実は全く探せていませんでした。アルバイト情報サイトを見るのでさえ抵抗があったからです。職を探すという行為に対してここまでの抵抗を持っていることに対して、もう無理だと思いました。(その後店頭でのスカウトという形でアルバイトは決まり、今はそこで働いています)

けれど、過去に何度か何かが堪らなく嫌でしんどくて仕方なくなった時のことを思い返すと、とにかく全て、現実からの逃避でしかないのでは? としか思えません。

色んな事から逃げようとしてきました。その都度何とかしてきたし、何とかできていたはずです。でも、もう何とかできなくなってきました。立ち向かえるような気力は少しもないです。そもそも、嫌だと思った事からの逃避の欲求があまりにも大きすぎるのかもしれません。こんなに強い逃避癖があるような自分は人として生きることに向いていないのではないかと思います。

自分は一体これからどうやって生きていけば良いのか分かりません。こうありたい未来はあるのに、その為の過程が一切見えません。やりたい事もできてない事も山程あるのに、こんな自分では、ほとんど何もできないまま終わってしまうんではないかと思ってしまいます。

乱文、失礼しました。自分の思っている事を整理し、聞いてもらいたく、ここへ書き込むことにしました。何か、ご意見をいただけるなら幸いです。

(全文そのまま掲載しました)


やめやめ。自分を責めるのはもうやめだ。宇宙人になろ〜!

全ては地球調査のために……

いや、至って真面目に言ってるんですよ。 「宇宙人ジョーンズ」シリーズあるでしょ? 缶コーヒーのCMの。あれになるの。いいんですよ、すごく。

俳優のトミー・リー・ジョーンズ扮する、スーツ着てサラリーマンやったり、制服着てウェイターやったり、地球のお仕事コスプレをして地球を調査する宇宙人。「この惑星では、見た目が9割と言われている……」みたいな感じで、地球調査報告書を読み上げるナレーションが、お仕事姿に重なる。決して口には出さないけど、常に、地球調査報告をやっている。

あれをやるんです。 本気で。

例えば、例えばだけどよ、就活ロールプレイングで入室ノックを2回コンコンってしたとするじゃん? で、「2回ノックはトイレと同じなので失礼です!」みたいな就活マナー講師に怒られたとするじゃん?

そしたら、すかさず脳内アナウンスですよ。

「この惑星では、誰もがトイレに行く。にもかかわらずこの惑星では、ドアを2回でノックすると、トイレみたいだ! と怒られる……」

で、家帰ったら調べるの。「どうすべきか」じゃなくて「なぜなのか」を調べるのよ、これは就活じゃなくて地球の調査だからね。なんで2回じゃダメなのか。いつから3回だということになったのか。

ざっとググったら「ノック2回で激怒された」「由来は不明だが、不快にさせないために『3回以上』がベスト」っていうITmediaビジネスオンラインの記事が出てきて「ヒンッ😂」って声出たんですけど、由来不明ならまた調査のしがいが出るじゃん? ってか、その激怒してきた上司に聞きたくない? 「それはご自身のお考えですか? それとも何かのセミナーで聞いたんですか?」って聞きたい、超聞きたい、だって意味わかんなすぎるじゃん、純粋に興味ある。わたしは最近、服装史の本を複数読み比べて「男性ズボン、女性スカート」の由来を探しましたよ。

「この惑星の調査は、本当に奥深い……」。

知ることです。 知ることは、抵抗なんです。 「黙って従ってればいい」と、あなたを無知のままにとどめて巻き込もうとする大きな仕組みの設計者に対しての小さな抵抗。それが、知ることなんです。

「知るな、黙れ、殺すぞ」に抗う知

人をまとめて動かそうとする大きな力は、上から怒鳴りつけ、「知らなくて良い!」と言い、あなたを無知のままにとどめおいて従わせようとします。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
ハッピーエンドに殺されない

牧村朝子

性のことは、人生のこと。フランスでの国際同性結婚や、アメリカでのLGBTsコミュニティ取材などを経て、愛と性のことについて書き続ける文筆家の牧村朝子さんが、cakes読者のみなさんからの投稿に答えます。2014年から、200件を超える...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

jlmercury 二回シェアするね 11日前 replyretweetfavorite

isaokodesu 1番色んな人に会えそうだからという理由で、今の仕事を選んだことを思い出した。でもやっぱ接客したくね〜!(笑) https://t.co/YjPCmntJnU 22日前 replyretweetfavorite

azusay4 ちょっと息抜きに読んでみたら、面白かった。 https://t.co/1tjneMg1tS 27日前 replyretweetfavorite

abetaiki_ この記事、最高だー。過去の自分に読ませてあげたかった。 27日前 replyretweetfavorite