ようやく暑さも和らいできて、秋になってきたという実感がでてきましたね。この季節に欠かせないのは何と言っても日本酒。春先にしぼられた新酒が夏の間に倉庫などで熟成され、まろやかになり旨味も増しているのです。そうして売られる「ひやおろし」と呼ばれるお酒は「1年のうちで最も美味しい日本酒」とされています。
でも、ひやおろしが好きだという人ばかりかというとそうではありません。
今までの連載でも紹介してきたように、日本酒には華やかな香りを持つものや、香りが穏やかだけど旨味が濃いものなど、さまざまなタイプがあります。ひやおろしもあくまでそのうちの1つ、まろやかで旨味が多いタイプのお酒なのです。そのため、一口目のインパクトではどうしても香りが華やかで味が濃いお酒に負けてしまいます。
ひやおろしなどの秋が旬のお酒は、同じ秋が旬の食べ物、例えば秋刀魚の塩焼きなどと相性が抜群だったりするのです。ひやおろしは単体で飲むというよりは、総じて食中酒の方が向いているお酒なのですね。
こういう「単体で飲む方とインパクトがある」や「食事と共に飲む方がいい」といったお酒の性質はどうやったらわかるのでしょうか。それは、日本酒のラベルを見ればある程度わかるようになっています。ただし、ラベルに書かれている情報量はとても多く、複雑です。
そこで今回は、「ラベル情報はここだけ見ればOK!」という3つのポイントを紹介します。初心者がまず最初にチェックしなければならないラベル読みのポイント、つまり味に一番大きく影響を与えている部分なので、しっかり覚えてお酒選びに活用してください。
今回は3つのポイントに合わせて、3本のお酒を用意してみました。まずはこちらのお酒です。
「湯川×仙醸 山廃純米しぼりたて生」(株式会社仙醸・長野県)は、その醸造の経緯に複雑な事情があるお酒です。長野県にある湯川酒造は、2013年2月に火事で施設が駄目になってしまい、お酒の醸造が不可能になっていました。でも、その火が出るまでに作っていた「
2本目はこちらです。