1週間の「終わり」はどこであるべきか
さて、1日の時間戦略を見てきましたが、同様の方針が1週間にも当てはまります。すなわち、1週間の始め方と終え方が重要になるということです。
ここで、素朴な問いを投げさせてください。
Q.1週間の「終わり」はいつですか?
週末=ウィークエンドという言葉があるように、普通に考えれば土日ですよね。例えば私は月~金まで働き、土日は「バッファー」という名のもとに、平日にやり残したことをこなす羽目に陥っています。
そして、金曜日の夜は「花金(ハナキン)」として夜遅くまで飲んだり、あるいは家でダラダラしたりしているのではないでしょうか。
こういった生活を送っていると、何が起こるか。まず、土曜日の朝はぐっすりと「寝だめ」することになります。平日の睡眠不足もたまっているので、人によってはお昼頃まで寝ているのではないでしょうか。また、起きてからもダラダラと本調子にならず、結果として夜更かしをします。すると日曜日も同じような悪循環に陥りますね。
その結果、おかしな現実に直面します。土日ゆっくり過ごしたはずなのに、月曜の朝から疲れを感じるし、たっぷり寝たはずなのに、眠気が取れない。
平日と休日で起きる時間が違うと、海外旅行をしていなくても、体はそれを「時差ボケ」として認識します。なぜなら、人間の生体リズムは、寝た時間ではなく、起きた時間によって規定されるからです。この現象を、ドイツの時間生物学者ティル・ローネベルグ博士は「社会的時差ボケ」と名付けました。
時差ボケは3日間くらい続いてしまうので、月~水くらいまでダルさが続きます。ようやく木・金と復活してきたと思ったら、また土日でリズムを崩してしまう。
これはマジでやばい、とある時思ったんです。自分でも笑ってしまうくらい同じ悪循環を繰り返していることに気が付き、いよいよ対策に乗り出すことにしました。
クリアすべきハードルは明瞭すぎるほど明瞭です。社会的時差ボケを防ぐには、平日と休日で起きる時間を一定にすればいい。ただ、それが難しい。
ただ難しい問題を解くのが私の仕事です。かなり頭を悩ませましたが、ようやく最近、しっくりくるアイデアが浮かびました。そのお話をしたいと思います。
現代人が「社会的時差ボケ」に陥る理由
まず私が疑問に思ったのは、そもそもなぜカレンダーは「月曜」からはじまっているのかということです。日曜始まりのカレンダーもありますが、多くの人は月曜始まりを使っていると思います。
これは知人から教えてもらった話なのですが、どうやら「月曜始まり」は、ソニー創業者の盛田昭夫さんに端を発するようです。
元々、明治になって日本に「1週間」という概念が入ってきたときは、おそらくキリスト教の影響で「日曜始まり」でした。創世記によれば、世界は日曜に始まりましたからね。しかし、「みんな月曜から仕事をしているんだから、月曜始まりでいい」と言い出したのが盛田さん。それが一般に普及したから、月曜始まりのカレンダーのことを「盛田式カレンダー」とも呼ぶそうです。
そして今では多くの人が月曜始まりのカレンダーに従い、「ハナキン」を楽しみ、土日でリズムを崩しているというわけです。
そこで私は、社会的時差ボケの調査のために、色んな方のカレンダーを見せてもらいました。すると、例えば女性の場合、「土曜の朝はヨガ」など、繰り返しの予定を入れている人が多かった。 「毎週行ってるんですか?」と聞くと、「行きたいけど、行けていない」という答えがほとんどでした。それもそのはずで、前夜の金曜日に夜更かししていれば、土曜の朝は起きられたものではありません。でも、当人たちはヨガに行きたいのです。
では、どうすればヨガに行けるようになるか。さらにいえば、どうすれば社会的時差ボケをなくせるのか。
(土日休みの人が)よい1週間を過ごすために、私が考えたアイデアは、「土曜始まりのカレンダーを作る」ということです。
Q.どうすれば社会的時差ボケをなくせるか
〉〉〉A.1週間の始まりを土曜の朝にする
ポイントは3つあるので、一つずつお話しします。