はじめまして! イラストレーターの鈴木みきです。
ここ12年は登山のコミックエッセイを描いたりしています。
最近、新型コロナの影響で「テレワーク」「リモートワーク」になった、いや、なってしまった人が私の周りにも増えました。私はもうずっと「在宅ワーク」なのでいつも通りの生活ですが、新規参入した友人・知人は少々手こずっている様子…あげく「家で仕事ができるなんて偉い」と褒められて「そ、そう? そうでしょ? 大変でしょ、在宅って?」なんて少しだけ鼻が高い。だって、今までそんなことを認められたことなかったですもん。むしろ通勤できない非社会人だと思って生きてきましたから。
いやぁ~時代が追いついてきたのかしら…なんて言ってる場合ではないのですが、私のこの「在宅ワーク」の経験が、もしかしたらみなさんの「テレワーク」のお役に立てるかもしれない。そう思って連載を始めることにしました。
「あいうえお」の50音に乗せて、ゆるいイラストでお送りする私の心得には、たいしたスキルもハックもないかもしれません。でも、そんな普通のことが難しいのが「在宅ワーク」です。みなさんの今ひとときの「テレワーク」の間だけでも、上手く凌ぐヒントになれば幸いです。
第一回は「あ行」です。
東京で緊急事態宣言が出されてから「社会人の歩数が約30%減(タニタ調べ)」というニュースを見ました。そりゃそうだろうと数字を見ると、「8~9000歩→5~6000歩」!はあ? 通勤してる人はそんなに歩いてるの? で、減っても5000歩!? もう、何かの間違いであってほしい。在宅の場合は自ら「歩きに行く」ことをしないと歩計の数字は三桁がいいところです。私なんて二桁もざらにある。
そんな私の驚きはともかく、「歩く」という行為は単純で簡単がゆえ意識されにくいですが、体にも心にも効き目があります。体力維持はそのひとつですが、いちばん大事なのは気分転換。理想は毎日、だけど3日に一回でもいい。キビキビ歩く必要も1万歩を目指す必要もありません。歩くと小さな発見があるし、家の他にも世界があるって自分に分からすためにも外に出るってことがいい。
私は近所にいくつか散歩コースを作って、コースを考えずに出かけても足が勝手に動くようにしています。気が乗らなくて10分くらいで引き返してきても結構スッキリします。通勤だと思って時間を割きましょう。同居人がいる方なら、その時間をひとりになる時間にするのもいいと思いますね。
いまや仕事のやり取りはメールがほとんどです。たま~に理解できない理不尽な文面が予期せず届くことががあります。カッとしますよね。会社にいれば、ちょっと隣の同僚にでも聞いてもらったり、とりあえず給湯室やトイレに行ったりして紛らわせることができるのかもしれません。
しかし部屋には私だけ、台所もトイレもすぐそこに見える。一旦「歩く」のも有効ですが、結局イライラの行先はなく自分の鞘に収めるしかないのがないのが在宅の孤独です。そんなときは一度吐き出す。そしてなかったことにする。
私は相手には読ませないメールを淡々と書いて全delete(リスクヘッジとして宛名をいれないこと)。不思議と2通目は角がなく書けます。裏紙にドーッと書いてグシャグシャと丸めて捨ててもいいと思います。そんなカッとなってても忘れてはいけないのは、イライラメールの前の自分のメールに問題がある可能性があること。それに気づいたときは気まずいっすね。石ころ蹴りたくなります。
うんこはしたほうがいいです。うんこは健康のバロメータです。
女性を中心に便秘の方も多いと思いますが、この50音心得の半分くらい実践してくれたら快便になるかもしれません。うんこは大事です。私はうんこをすると自分を褒めます。家のトイレが思う存分使えるこの時期に毎日出るようにがんばりましょう。
在宅はスマホ使いホーダイ。手持ち無沙汰についSNSを開いて小一時間経過なんてことは一日に何度もある。スマホ依存、承認欲求…いろいろ言い方はあるかもしれませんが、単にヒマなだけです。夢中になる事柄もなければ、ぼんやりもできない。何となくクリック。
それはもう仕方がない。だってヒマだから。でも気をつけなけれないけないのは他人の投稿に動揺しないこと、比べないこと。自分の投稿も誰か特定の人を見据えてしないこと。嘘も誠も不特定多数の人がやっているからこそ楽しいのがSNSですからね。
もし見るのもストレスになるくらいなら、スマホからソーシャルディスタンスを取るべきです。飛沫は飛んでこなくとも、何か今の自分にとってイヤなものが感染してしまったのかもしれません。抗体ができたらまた平然と楽しめます。
余談ですが、私は中年ひとり暮らしで、コミック執筆中なんかは誰からも要請されていない外出自粛状態が続きますから孤独死が心配なんです。ほぼ毎日SNSに投稿するのは、フォロワーのみなさんに自分の生存確認をしてもらっている部分もあります。一週間なんの知らせもなく投稿がなければ誰か通報してください。
もうね、これはそのままですが、在宅はいつ起きてもいいのです。なんなら起きなくてもいい。会社によっては「テレワーク」時間が決まっていて監視されているらしいですが、よほどそのほうが幸せです。有限の人生で私はこれまでどれだけの時間を布団のなかで費やしてしまったのでしょう。在宅ワークの肝のキモは時間管理だと思っています。それが自分にかかっているという恐ろしさ…。
おそらく新規参入した1~2週間は、起きなくてもいいのにいつもの出勤に合わせて目が覚めていたと思うんです。でもその時間に起きなくてもいいとなってくると、どんどん起きなくなってきます。でも立ち上がりましょう。経験上24時間以上寝たきりはダメです。起きる気力が失せます。お昼になってもいいから目が覚めたら二本足で立つのです。布団に戻りたくなっても、立て、立つんだジョー、頭のリングサイドに丹下段平を。
次回は「か行」をお届けします。お楽しみに!