“人を育てる”一流の指導者に課せられた究極の使命

「人を教え育てる」とはどういうことか? 指導者に課せられた究極の使命とは? 『野村の教え方 すべての指導者に贈る最後のメッセージ』から、日本プロ野球“最高の教師”の野村克也が指導法の神髄を語る。★本連載は今回で最終回となります。ご愛読ありがとうございました★

財をなすより仕事を残すのが一流の指導者

仕事で成果を出し、財を成すことには価値がある。だが、お金は使えば消えてしまうし、あの世まで持っていくことはできない。それよりも事業や仕事を残すことのほうに価値がある

例えば、渋沢栄一は生涯に約500もの企業の設立に関わり、その中には誰もが知る企業として今日まで続いているものもある。残した事業が、国の人々の生活に貢献するものであったなら、財を残す以上に意義は大きいだろう。

そして、事業を残すよりもさらに尊いのは、人を残すことである。有能な人間を何人も育てることができたら、事業を残すことはもとより、後世にわたって、さらに有能な教え子が育つことにもつながるだろう。そうやって、脈々と自分の教えが受け継がれ、記憶されていくような人物になれたら、どれだけ素晴らしいことだろう。

京セラの創業者である稲盛和夫さんを師と仰ぐ人が多いのも、経営手腕を評価しているからだけでなく、「盛和塾」を開き、たくさんの人材も輩出しているからだという。一流の経営者は自分の会社が発展するだけではよしとしていない。広く世の中への貢献を考えて人を育てているものだ

私が見てきた中では、ヤクルトの相馬和夫社長も立派な経営者だった。1990年、私がヤクルトの監督に就任して1年目はリーグ5位で終わった。後から聞いた話であるが、私を招聘した相馬社長は本社の役員たちから総スカンを食ったという。

3年目に優勝したときには「私は野村さんがチームを変えてくれると信じていた。ありがとう」と、私の手を握り、しばらく離さなかった。「この人のために」と思える人物であった。

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日本プロ野球“最高の教師”の野村克也が「教え方」の神髄を語る

この連載について

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野村の教え方 すべての指導者に贈る最後のメッセージ

野村克也

古田敦也、新庄剛志、宮本慎也、稲葉篤紀、田中将大——。球史に残る名選手を次々に育て上げた名将・野村克也。日本のプロ野球“最高の教師”が「教え方」の神髄を語る。プロ野球ファンはもちろん、スポーツインストラクター、学校の教師、会社のマネジ...もっと読む

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Katie_wdl 本当にこれでしかない。 "人を育てる”一流の指導者に課せられた究極の使命|野村克也|野村の教え方 すべての指導者に贈る最後のメッセージ https://t.co/BzY7SBULDw 約2ヶ月前 replyretweetfavorite