礼儀を重んじよ」という教えがもたらす真の成功

多くの人が本当の意味で礼儀を理解していないからこそ、そこに成功や結果につながる真実が含まれている。「礼儀礼節」の真の意味とは? 『野村の教え方 すべての指導者に贈る最後のメッセージ』から、日本プロ野球“最高の教師”の野村克也が指導法の神髄を語る。★毎週木曜日更新★

本当の意味で礼儀を理解している選手は少ない

人間として一流であるためには、「礼儀礼節」を重んじる気持ちが不可欠である。挨拶をする。頭を下げる。お礼をする。こういった行為は社会で生きていくための基本中の基本だ。礼儀礼節が身についていない限り、社会でまともに相手にされることはない。

一般企業でも、礼儀礼節に欠けているため対人関係に支障が生じている人、あるいはそういった部下を抱え、指導に頭を悩ませている上司が多いのではないだろうか。

一方、プロ野球の世界であれば、上下関係がしっかりしていて、礼儀礼節を重んじる風潮が浸透しているように思われるかもしれない。だが、実態はといえば、案に相違して本当の意味で礼儀を理解している選手は少ない

例えば、ヤクルトの監督に就任した当初にこんな体験をした。最初の秋季キャンプで顔を合わせた一部の若い選手から「おはようございます」ではなく「ウース」と声をかけられることがあった。これには私もまったくあきれた。

どういうわけか、野球の世界には高校、大学から社会人を通じて、挨拶を「ウース」で済ませる慣習がある。同級生同士だけでなく、先輩や監督に対しても「ウース」で済ませてしまっている。だから、私に対しても自然に「ウース」と口にしたのだろう。

だが、私に言わせれば「ウース」は挨拶として成立していない。そもそも挨拶という漢字には、それぞれ「挨」=「ひらく」、「拶」=「せまる」という意味がある。挨拶は、自分の心を「ひらき」、相手に「せまる」ための行為であるわけだ。

では、「ウース」はどうだろう。これは相手に向かってひらいても、せまってもいない。ただ、挨拶をするという行為自体が目的になってしまっている。「とりあえず監督の顔を見たから声をかけなければいけない」という程度の理由で声を発しているだけだ。

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古田敦也、新庄剛志、宮本慎也、稲葉篤紀、田中将大——。球史に残る名選手を次々に育て上げた名将・野村克也。日本のプロ野球“最高の教師”が「教え方」の神髄を語る。プロ野球ファンはもちろん、スポーツインストラクター、学校の教師、会社のマネジ...もっと読む

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SK7FISH "そもそも挨拶という漢字には、それぞれ「挨」=「ひらく」、「拶」=「せまる」という意味がある。挨拶は、自分の心を「ひらき」、相手に「せまる」ための行為であるわけだ" https://t.co/6z2Bushqb6 3ヶ月前 replyretweetfavorite