プロでも野球について深く考えていない
自分の頭で「〜とは」を問いかけさせる。
私は教育の本質を、この「とは教育」だと考えている。
ビジネスの分野であれば「人間とは」「社会人とは」「仕事とは」「プロ意識とは」という根本に始まり、「営業とは」「経理とは」「人事とは」という各論に至るまで、教え子に問いかけ、考えさせ、理解させることが重要だろう。
野球の指導者として、私も選手に「〜とは」を問いかけることを強く意識した。
プロ野球選手だから、野球について深く考えていると思ったら大間違いだ。むしろ、プロであることにあぐらをかき、勉強をしない選手が大半である。ほとんどが「野球とは何か」など、一度も自問することなくプロの世界に入ってきている。
「〜とは」を考えない選手は「~だろう」で野球をしている。根本を問い直すことなく「このくらいでいいだろう」という中途半端な理解で臨む。指導者の側も「そのくらいわかっているだろう」と思い込んで「とは教育」をしない。あるいは、指導者自身もよく事情がわかっていないから「とは教育」ができないのかもしれないが。
プロ野球の監督時代、私はキャンプ中、毎晩のようにミーティングを行っていた。そこで繰り返し根源的な問いを投げかけた。
「野球とは何だ」
「バッティングとは何だ」
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