◆ 井上さん、執筆お疲れさまでした。cakesの連載は、億万長者になった井上さんの半生を語るというコンセプトで始まりましたが、連載開始からおよそ2年半たって書籍になるという幸運に恵まれました。
井上:そうですね。僕も自分の半生を振り返り、これまで自分がしてきたことをアウトプットする場をいただけて、さらには書籍にしてもらって本当に感謝しています。
◆ もともと、井上さんがやってきた億万長者になる方法を皆に伝えたくて始めたんですよね。
井上:はい。僕がやってきた方法は特別な才能は必要ないですし、時間を味方につけた再現可能な投資方法です。だから、年収とか能力とか、そういうのとは関係なく誰でも1億円貯められますよっていうのを知ってほしくて書いた面もあります。
◆ ”誰でも”とおっしゃいましたが、コツコツとずっと積立て続けるっていうのは、なかなかできることではないと思いますよ。
井上:今の時代ならお金の流れのほとんどを自動化できるので、僕は毎月1度、残高を確認して「異常なし!」と確認して終わりです。
だから、月に10分も時間をかけていませんから、誰にでもできるというのは嘘ではないですよ。
◆ とはいえ、今回のコロナショックは、井上さんにとっても異常だったのでは?
井上:たしかに普段勤務している会社が休業になったり影響は出ていますが、僕個人の資産の影響は軽微で済んでいます。
書籍の中でも詳しく書きましたが僕の決めたルールでは、好景気な時と不景気な時の2パターンあって、そのルールに従っている感じです。
それに今回のショックは不景気というほどではありません。それは、始まってまだ2ヶ月しか経ってないからです。本当の不景気は数年間は続くものだと思うので、今が異常かどうかは終わってみなければわかりません。
◆ もともとはリーマンショックの傷がまだ痛々しかった頃に始めた投資法でしたよね。
井上:ここ数年は、ずっと好景気が続いていたので、忘れかけていたのですが、「久々に不景気の波が来そうだ」というのは感じています。でも、リーマンショックの時の方が今のルールに絶対の自信を持っているわけではなかったので、ドキドキしていました。書籍にも書いた通り、資産を大きく増やすには不景気の時にも積立を続けていることだと僕は信じているので、決めたルールを守って淡々と毎月の積立を続けるだけです。
◆ じゃあ、逆にいうと、今はチャンスだと思っているのですか?
井上:チャンスの捉え方は人それぞれだと思いますが、僕はニュースも見ないし、経済を分析する能力を持っていないので、あまり関係はありません。景気には波があって、好景気はずっと続かないし、不景気もずっと続かないという景気サイクルの原則を知っているだけです。
僕のやり方なら、今がチャンスというより、2050年まではずーっとチャンスです。
詳しくは前々回の記事を読んでもらえるとありがたいです。
◆ みんなが右往左往している時に、悠然としていられるメンタルというのは、どこで鍛えたんですか?
井上:メンタルなんて、そんなに強くないですよ!
他の人と同じように怒る時もあれば、悲しく思う時もあります。ただ、お金のことだけは泣いても怒っても始まらないから、自分がやるべきことを淡々とやっている、という感覚に近いですね。
僕が今回の本で伝えたかったのは、世の中、お金以外にも嫌なことなんていっぱいあるんだから、お金のことぐらいは心配から解放された方がいいと思って、多くの人に僕の発見とそれを実現する方法をシェアした感じです。
◆ なるほど。シェアの精神だったのですね。
井上:いや、そんな高尚なものだけではないかもしれません(笑)。
手取り22万円で、妻に「甲斐性なし」ってふざけて言われちゃうくらいの僕でも、1億円貯めたんだぞーって、今までの努力を認めてもらいたい気持ちは、ほんの少しくらいはあったかもしれません(笑)。
◆ 努力といえば、井上さんの普段の食生活とか聞くと、ちょっと驚くところがありますもんね。
井上:節約のために、会社に手作りのサンドイッチを持って行ってることですか?
◆ 違いますよ。手作りのサンドイッチの”材料”を持っていってることです。
井上:一斤100円の食パンをスーパーで買ってきておいて、会社の冷蔵庫に保管してある野菜類とハムを、仕事机でマヨネーズと一緒に挟んで食べるってことですね?(笑)
でも、これだと一食150円以内に抑えられるし、余りがちなサンドイッチの具材を最後まで活用できていいと思うんですけどね。家での準備だって5分もかからないですし!
◆ 本の中では、あまり触れられなかったですが、井上さんの節約生活はなかなか堂に入ってます。
井上:節約でお金持ちにはなれない、なんて言われますけど、僕にとって節約は、お金を稼ぐことと一緒です。手取り22万円からさらに増やすことよりも、僕にとっては支出を減らす方が簡単っていうのが大きかったですね。
それにいつも節約方法について調べてるから、いろんなことにも詳しくなれるし。
携帯電話の契約やクレジットカードのポイント、保険契約や国の助成金に関してまで、僕が節約方法に詳しいことは会社でもそれなりに知れ渡っているので、そういう個人的な相談をよく持ち掛けられます。節約テクニックは誰かと仲良くなるためのツールなのかもしれませんね(笑)。
◆ 今回の本が先月末に発売になって、周りの反応は変わりましたか?
井上:ふざけてだけど、「先生」って呼ばれるようになりました。それ以外は特に変わっていません。
1億円を貯めていることを知られても急に優しくされたり、尊敬されることはないですよ(笑)。
◆ あとがきにも書かれていましたが、”この時代に生まれてよかった”という文章が印象的だったという声が寄せられています。
井上:今の時代は昔に比べて、はるかに生活が便利になっています。それでも、今の時代の悪い点をいくつも並べて、昔の方がよかったという風潮もあります。
でも、僕は本当に”この時代に生まれて良かった”と本気で思っています。それはお金を貯めることができたからではありません。格差は広がっていると言われていますが、その壁は意外に薄くて、お金持ちだけが特別なサービスや便利な機能を与えられているわけではないということです。僕の知っているお金持ちも、そんなにゴージャスな生活を送っているようには思えません。
そして何よりも、能力や才能や幸運がなくても、やり方さえ間違えなければ、誰でもお金を増やせる時代だということが幸運だと思います。僕は人一倍楽観的なのかもしれませんが、未来はそんなに暗くないと本気で信じたいですし、こういう時期だからこそ、1人でも多くの人が将来のお金の不安をなくして「やりたいこと」をたくさん叶えて欲しいと思っています。
◆ そうですね。インタビューありがとうございました。
次に紹介するのは、井上さんが億万長者になるために役立った「やりたいことリスト」についてです。
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