褒め方を間違えばかえって信頼関係を失う
自信を持たせるため、褒めることは確かに有効な手段である。どうやら私には「褒める」イメージが乏しいようで、「ぼやく」「叱る」が専門の指導者と思われがちであるが、決して褒めるという行為を軽視しているわけではない。
ただ、褒めるというのは難しい。タイミングが重要であるし、わざとらしい褒め方をすると通じない。「褒めればついてくると思っているんだろう」と判断され、かえって信頼関係を失う可能性もある。
本当に褒めたいと思うなら、相手をよく観察した上で、ここぞというときを待って褒めるのがよい。指導者が効果的に褒めれば、たった一言で自信につながり、大きな変化をうながすことも可能となる。
褒めることに関しては、今でも忘れられない思い出がある。あれは、私がプロ入りして2年目くらいのこと。とにかく一軍に上がりたい一心で、私は二軍での練習に必死で取り組んでいた。
努力というのは厄介なもので、やったからといって、すぐに結果が出るものではない。真剣に素振りをしたから翌日打てるかといえば、決してそうはいかない。効果が出るのは2年後、3年後だから、長い目で見て継続する必要がある。だから、みんな嫌になる。しばらくすると、何だかんだと理由をつけて努力から逃げてしまう。
私も合宿先でバットを振っていると、よく先輩たちから冷やかされた。
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