お気持ちビジネス」と「合理性」のあいだ

日本のビジネスでは、お客さんや社内の人間の「お気持ち」を忖度する場面が多くあります。気持ちに配慮すること自体は悪いことではないですが、それによって合理性や効率が損なわれてしまうことも。「お気持ちビジネス」がないというマレーシアを参考にしつつ、日本人の働き方について考えます。

こんにちは!

以前、日本の銀行に海外から電話すると、丁寧すぎて困ると言うお話をしました。
海外から電話をかけて、5回も自動音声を聞いた後にようやく担当に繋がって、「お客様。この度はお電話ありがとうございます。本日は最初にわたくし・・・が担当させていただきます。どうぞよろしくお願いします」などと始まったら、早くしてーって思ってしまいます。

しかし、冷静に考えれば、銀行側は、

・とても丁寧にしないと怒るお客さん
・応対はテキトーでいいから早くしてーってお客さん

と言う相反する両方のお客さんを抱えてる。

「適当でいいから早く済ませて欲しい」って私みたいな客もいれば、「心がこもってないとダメでしょう。もっと丁寧に」って人もいる。サービス業は大変です。
電話がつながるまでに相当のストレスを与えてるわけで、お客さんの多くはイライラしてるでしょうから、余計です。


相反するお客さんをどーするのか問題

マレーシアになくて日本にあるものは何か。

日本から来た人が「マレーシアのサービスはダメだ……」って文句を言うのには、一部、この「お気持ちビジネスの欠落」があるかもしれません。
マレーシアだとサービスの質は値段でほぼ決まっており、それも「素っ気ない系」で統一されてることが多い気がします。

特に値段が安いコンビニやママック(インド系の安レストラン)などでは、簡素な接客がデフォルトです。マレーシアには、お客さんがウエイターのことをボスと呼ぶ不思議な文化があります。「ボス、コーヒーひとつ」「OKラー」みたいな感じです。クイッと首を降って返事をしない店員さんもいますね。

セブンイレブン行って「お気持ちのこもった接客」を期待する客は、いません。携帯みながら、店員同士でお喋りしながら接客するのも多数。海外エアラインの素っ気ないサービスに「耐えられない」っておっしゃる日本人もいる。「日本のスチュワーデスさんは癒される。最高だな」って人多いんですよね。

日本のお客さんは、「マレーシアのサービスはレベルが低い」と怒り出し、マレーシア人は「日本はこんな値段でも丁寧ですごいな」と感激するんです。

これを見て、サービス業で働いていた経験のある私は内心「あーあ……」となる。
そして、マレーシアに進出した日系サービス業の方が「もううちはローカルのお客さんだけ相手にするので日本語の看板おきません」とかいい出すのです。


「上司」と「お客さん」どっちの機嫌をとるべきか
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怒らない力—マレーシアで教わったこと

野本響子

編集者・ライターの野本響子さんがマレーシアで暮らし始めて感じたのは、日本にくらべて驚くほど寛容なマレーシアの社会。「迷惑は掛け合うのが当たり前」「怒る人ほど損をする」など、日本人の常識からしたら驚くことばかり。 この連載では、そんなマ...もっと読む

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コメント

Lave_chamo 〝切り離して考えましょう〟ができない人々だから。 7日前 replyretweetfavorite

keizin0309  超大手は内需と外を分けて考えている(はずだ)けど微妙な規模の企業は… 7日前 replyretweetfavorite

Chuck_euoni コンビニ店員はいつも尊敬してる。だってレジや品出し以外にコピー機の紙… https://t.co/zakspfrP9s 7日前 replyretweetfavorite

guriswest ああ。ほんそれ。自分の気持くらい自分でかたァつけなきゃなぁ。 7日前 replyretweetfavorite