君と同じものを見せて

「モテる文体とはなにか?」を徹底的に分析する連載です。今回は、司馬遼太郎さんの「その場にいるような描写力」について解説します。書評ライター・三宅香帆さんの著書『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』から特別収録。

司馬遼太郎の撮影力
一緒にその場にいるような気分になって楽しい


自分の目を通して見た景色って、なかなか言葉で伝えられないもの。

あんなに素敵な景色だったのに、あんなに面白い光景だったのに、それがどんな“絵”だったのか、他人にイメージしてもらうのは難しい。

でも一方でプロの文章を読んでいると、情景がぶわっと浮き上がってくることがある。
画像として見えるというより、まるで映像として動いているような。

とくに時代小説家さんは、絵を言葉に変換する能力が高い。
「江戸の町なみ」や「城内の合議」や「合戦の様子」なんて、誰もが知っているシーンなのに、作家さんによって描かれ方が違う。
しかも大勢の武士が激しくぶつかりあう戦場なんかを、臨場感たっぷりに「言葉」だけで表現できてしまう。

どう見せているのか。どう切り取るのか。
オリジナリティのある景色の描き方を、時代小説の大家・司馬遼太郎先生から学んでみたいと思います。


まるで書き手と同じ景色を見ているような気持ちになる文章です。

でも、もし仮に司馬遼太郎さんと同じ景色を見ていたとしても、普通の人にはなかなかこんなふうに再現できないでしょう。

たとえば私だったら、そこがどんな場所だったか記憶をたぐり寄せながら、湖が近かったとか、古びた街だったとか、天気は良かったとか、暑かったとか、情報をバラバラに並べてしまうだろう。

じゃあふつうの人と、司馬先生の書き方の違いは一体なんだろう? 

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

言葉の発信力をあげたい人へ。

この連載について

初回を読む
文芸オタク女子の バズる文章教室

三宅香帆

こんな書き方もありだったのか! 文芸オタク女子が暴露する、「モテる文章の秘密」がいっぱい。文章を書くという行為が、今よりもっと面白くなるはずです。

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

Tweetがありません