二人きりなら、何者になりたいですか?

「モテる文体とはなにか?」を徹底的に分析する連載です。今回は、橋本治さんの「はっとさせられる文章」について解説します。書評ライター・三宅香帆さんの著書『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』から特別収録。

橋本治の豹変力
急に「しゃべる」と、ドキッとする。


あなたは文章を書くとき、常体と敬体はどう使い分けてますか?

学校の作文の授業なんかでは「“ですます調”か“である調”か、どちらかでそろえましょう」と教わったかもしれません。
たいていみんな、その教えが身体に染み付いちゃっているもんだから、いまだに「ですます調」で文章を書いている途中に、「だよ」とか「なんだ」とか書くと減点されるような気持ちになるんですよね。

同じ相手(想定読者)に対しては、同じ文体を使わないといけないのでしょうか? 
いや、本当はそんなことはないはず。

よく耳を澄ませてみれば、子供たちに「ちょっとしずかにしてねー」とやさしく伝えても、全然静かにしてくれなければ「し! しずかにして!」と声を荒げて、それでも静かにしてくれなければ、最終手段として「もう少しだけ、お静かに願えますか」と丁寧に低い声ですごむ人がいる。

伝える相手によって、立場によって、状況によっていろんな言い方をするものです。

ふだん私たちは無意識に“文体”を使い分けています。
「文体は統一しなければならない」というのは思い込み。
たとえば橋本治さんの文章を読むとしみじみそう思います。

橋本治さんは文体使いの天才。
これを聞いて、彼の代表作である『桃尻娘』を思いつくあなたはきっと読書好きのはず! 
時には女子高生にも、厳しい評論家にも、やさしい人生の先輩にもなる。
読み手の心に届かせるために変幻自在なカメレオン文体。
文体を切り替えることによって、“感情の見せ方”をコントロールできるのです。


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文芸オタク女子の バズる文章教室

三宅香帆

こんな書き方もありだったのか! 文芸オタク女子が暴露する、「モテる文章の秘密」がいっぱい。文章を書くという行為が、今よりもっと面白くなるはずです。

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