単身世帯が増え、孤独死が深刻な社会問題になる中、それを覚悟したうえで「死を迎えても周りにできるだけ迷惑をかけないためにはどうすればいいか」と考える人もいるだろう。生涯未婚率が上昇しているほか、既婚者でも離婚や死別などさまざまな事情で単身のまま生涯を終えるケースは珍しくない。歳を重ねるにつれ、体が弱り、認知症などのリスクも高まる。元気なうちに先手を打つにはどうすればいいのだろうか。
老い支度として活用したいのは意思決定支援の「成年後見制度」だ。認知症など本人の意思能力が低下した場合に、判断をほかの者が補う。「これにより預貯金など財産の管理、不動産の売買、介護施設の契約などにおいて不利益を被らず終末期を迎えられる」と話すのは、年間100件ほど成年後見制度の相談を受けている、NSパートナーズ司法書士事務所の新宮(しんぐう)信之代表司法書士だ。
同制度には、すでに判断能力が衰えた人に対して家庭裁判所が適切な支援者を選ぶ「法定後見」と、判断能力が衰えたときに備えて、本人があらかじめ支援者を選んでおく「任意後見」がある。
自分の意思で事前に備えておけるのは任意後見だ。契約から開始までの流れは次の通り。
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