コンビニ地獄

セブン“時短潰し”の現場 「売り上げ減」をちらつかせ

【24時間営業を見直すつもりはあるのか】
24時間営業問題に対処すべく、コンビニ大手は時短実験を開始。加盟店の負担軽減策を打ち出した。だが、本部の行動を追うと、問題を見直したいという気概は伝わってこない。


Photo:アフロ

 「開いててよかった」──。かつてテレビCMなどで盛んに流れていた、セブン-イレブン・ジャパン(SEJ)のキャッチコピーである。

 24時間365日営業の利点をアピールするこのキャッチコピーは、2009年に「近くて便利」に変わった。24時間営業がコンビニ業界に定着し、競合との差別化要素にならなくなったからだ。

 「開いてて当たり前」。これが業界の常識であり、加盟店のオーナーも望むと望まざるとにかかわらず従ってきた。ところが、この業界の常識である24時間営業に反旗を翻すオーナーが現れた。

 19年2月、大阪府東大阪市でセブン-イレブン東大阪南上小阪店を営む松本実敏さんが、人手不足のために24時間営業を自主的に取りやめて深夜に閉店。すると、SEJは契約違反であるとして、約1700万円の違約金の支払いを求めたというのだ。

 こうした事情が公になると、SEJに対して、世論の批判が噴出。「開いてて当たり前」の裏側で、人手の確保といった加盟店側の負担に注目が集まった。SEJは同年3月、夜間に閉店する時短実験を直営店で始めた。だが批判はやまず、古屋一樹社長(当時)は事実上の引責辞任に追い込まれた。

「個店ごとに柔軟対応」
実態は時短実験参加に3段階のハードル

 「24時間営業についてフランチャイズチェーン本部として真摯に受け止め、個店ごとに柔軟かつこまやかな対応をしていきたい」

 SEJの親会社であるセブン&アイ・ホールディングス(HD)の井阪隆一(いさか・りゅういち)社長は4月4日の記者会見でこう明言。時短実験への参加を加盟店が希望した場合には、積極的に応じる考えを示した。

 40年間、さまざまなサービスを付加して「社会インフラ」と呼ばれるまでに成長したコンビニが、24時間営業というビジネスモデルの大転換に手を付ける歴史的瞬間、となるはずだった。

 ところが、あるオーナーが時短実験への参加を希望したところ、本部社員からこんな言葉を投げ掛けられたという。

 「深夜に閉店すると、日中の売り上げも2~3割下がりますよ。過去のデータでそうだったんです」

 他に、本部社員に時短実験について聞きたいと告げたところ、「上から話が来ていないんで、対応できません」と答えられ、その後回答がないと困惑するオーナーがいる。「『個店ごとに柔軟かつこまやかに対応する』という本部の言葉は、時短を認めない対応もあり得る、ということだ」と、このオーナーは不満を募らせる。

 そんなオーナー側の証言を総合すると、井阪社長の前向きな発言とは異なり、本部は24時間営業の見直しに後ろ向きのようだ。

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週刊ダイヤモンド 2019年6/1号 [雑誌]

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ダイヤモンド社; 週刊版
2019-05-27

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「開いててよかった」のキャッチコピーで約40年前に誕生したコンビニ。今や全国5.5万店、11兆円市場へと膨れ上がった。急成長の裏側で、現場を支える加盟店の負担は限界に達し、24時間営業の見直しが迫られている。コンビニ業界が抱える構造的...もっと読む

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