コンビニ地獄

NBがコンビニから消えていく

【PB主力へと転身迫られる食品メーカーのジレンマ】
コンビニの棚を埋め尽くすプライベートブランド商品は、誰もが知る大手メーカーが生産している。本来は自社商品を売りたいメーカーも、コンビニの圧力に屈せざるを得なくなっている。

 2019年1月。ビール業界で約30年の歴史を持つものが、ある意味“コンビニのせい”で消えた。ビール大手5社が加盟するビール酒造組合による「課税出荷数量統計」だ。

 毎年年始に発表されるこの統計は、前年の成績発表の場ともいえる業界の風物詩だった。これが廃止されたのは、キリンビールが18年に、セブン-イレブンやファミリーマート、ローソンのコンビニ大手3社と、イオン向けのプライベートブランド(PB)商品を相次ぎ受注したことが原因だ。

 PB分を自社の出荷量に含めたいキリンと、それを認めないアサヒビール、サントリービールが対立。溝は埋まらず18年を最後に廃止されることになってしまった。

 食品業界の中で数少ない売上高1兆円超の企業集団でもあるビールメーカーは、「小売りの下請けにはならない」(ビール業界関係者)という気概を、多かれ少なかれ持ち続けてきた。

 だが、その姿勢は揺らぎつつある。過去に強い拒否反応を示してきた「ダブルチョップ」(メーカー名と小売りチェーン名が併記される共同開発商品)はすっかりおなじみになり、ビール各社はこぞってコンビニ限定商品を供給している(下図参照)。

 「(アサヒの名前が入らない)PBは私の任期中には一本たりとも作らない」(小路明善・アサヒグループホールディングス社長)という、かつては各社に共通していた“一線”も、今回キリンによって踏み越えられた。

 「PBをやることで明らかに(コンビニをはじめとする)小売りとの関係が良くなった」と布施孝之・キリンビール社長は語る。

 NB(自社ブランド)商品しか売らなかった業界最大手の“変節”。その理由をひもとくと、コンビニとメーカーの間に重く横たわる、のっぴきならない事情が見えてくる。

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週刊ダイヤモンド 2019年6/1号 [雑誌]

ダイヤモンド社,週刊ダイヤモンド編集部
ダイヤモンド社; 週刊版
2019-05-27

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「開いててよかった」のキャッチコピーで約40年前に誕生したコンビニ。今や全国5.5万店、11兆円市場へと膨れ上がった。急成長の裏側で、現場を支える加盟店の負担は限界に達し、24時間営業の見直しが迫られている。コンビニ業界が抱える構造的...もっと読む

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