aiko好き編集者がライブの誘いを断った日

cakesが誇る人気連載「ワダアキ考」、2019年の大トリを飾るのは、今年もやっぱりaikoです。仕事、結婚、子育てと、交わるはずのなかったaikoとの物語は新しい展開を迎えます。といってももちろん交わることはありませんが、一体何が起きたのでしょうか。全く気にならない方も、武田砂鉄さんの原稿は今回も面白いので、年の瀬の煤払いだと思ってご一読いただければ幸いです。

「ワーク・アイコ・ライフ・バランス」のその後

この連載はまもなく300回を迎えるのだが、担当編集者が根っからのaiko好きで、これまで4度もaiko愛について話を聞く機会を設けてきた。一部の熱狂的なaikoファンに歓迎され、多くの読者からは無視されてきた。彼が結婚した際には、「ワーク・アイコ・ライフ・バランスが心配」と新しい概念を提示した上で頭を抱え、独身時代に部屋に掲げていたaikoの巨大ポスターを、タンスの奥にしまいこんでいた。こちらは理解も誤解もしていないのに「誤解をしてほしくないのですが、妻とaikoの両立は矛盾しません」との発言も飛び出し、長々とその理由を聞いた気もするのだが、それがどういうものだったのか、思い出すことはない。

今年も紅白歌合戦に出場するaiko。正直、際立った活躍を感じたわけでもないですけどね、と切り出すと、顔がみるみる曇っていく。6月にシングルコレクション『aikoの詩。』をリリース、シングル曲だけではなく、これまでファンの間で愛されてきたカップリング曲から厳選した1枚も含まれた4枚組だ、と熱弁する。彼の機嫌を取り戻そうと、イチかバチかで「人気カップリング曲を含んだB’zのベスト盤『Treasure』みたいなものですかね」と言うと、意外にも満足そうな表情を浮かべている。

家の中にはあまりaikoが流れなくなった

編集者「今年は本当に色々なことがありました。実は去年の年末、武田さんにインタビューしてもらった翌日が、生まれたばかりの次男の精密検査の結果が出る日だったんです。その結果、聴覚障害があることがわかり、今年はそのことと向き合う日が続きましたね」
武田「はい、SNSに書かれていたのを読みました」
編集者「ベストアルバムを出したこともあり、aikoは、この秋から来年の春にかけての長いツアーをやっているんですが、チケットが取れなかった。そんな時、友人が急にチケットが手に入ったと誘ってくれたんですが、僕はその日、aikoのライブに行きませんでした」
武田「行かなかった? どんなことよりもaikoを優先し、新作のリリース日にはaikoが来るかもしれないという理由でCD屋さんをまわってきたというのに。信じられません」
編集者「はい、その日は今通っている手話講座があったんです。僕はそっちを優先しました。簡単にまとめることはできませんが、これは今年の僕にとって、とても象徴的なできごとなんです」

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この連載について

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ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

武田砂鉄

365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

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コメント

eschan03 なんか、電車の中で読んでて涙ぐんでしまった。。 https://t.co/6j85ZGp8cw 3ヶ月前 replyretweetfavorite

higashi_org 年末のヒマだった夜、20年来の西川貴教の追っかけであるうちの奥さんに↓のcakesの記事を見せたところ「私はこの人(@die_kuma さんのこと)の言ってることがわかる」と真顔で言ってたことをご報告します。 https://t.co/6Qn3pH574a 3ヶ月前 replyretweetfavorite

mukuobake 年が納まりましたね…… 3ヶ月前 replyretweetfavorite

squid333 うっかり感動してしまった。 3ヶ月前 replyretweetfavorite