言ってはいけない。

「モテる文体とはなにか?」を徹底的に分析する連載です。今回は、山崎ナオコーラさんから学ぶ【刺激的なテーマの放り込み方】について解説します。書評ライター・三宅香帆さんの著書『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』から特別収録。

山崎ナオコーラの冒険力
え? なんかショック! …あ、そういうことじゃないんだ。納得。


校長先生の話といえば、長くて退屈が定番でした。
なぜ長くて退屈だったのかと言えば、無難な話しかできない立場なのに、
無難な話で終わらないようにがんばってくださるから、じゃないでしょうか。

たとえば

「先生もみなさんくらいの年の頃、音楽に夢中だった時代があったんです」
「ファッションにも興味を持ちはじめました」
「夜、仲間たちと遊びにも出かけたりしたものです」

なんて打ち明けられたら、ふつう

(え? 金髪にしてピアスあけて、音楽イベントとか行ってた?)
(クラブで朝まで踊り明かした?)

なんて期待しちゃいません?

でも出てくるエピソードは、せいぜい友だちとポップのCDを貸し借りしていたとか、
お小遣いを貯めてポロシャツとチノパンを買ったとか、縁日でお菓子を買い食いしたとか、
そんなもの。

うーむ、無難。

でも、もしかしたら、
あのとき誰よりも拍子抜けしていたのは、他ならぬ校長先生ご自身だったのかもしれません。
生徒たちに「私たちと同類じゃん!」と感じてもらいたくても、
学校長という立場がそうさせてくれない。
無難なことしか結局言えない。

実はこれに似たことが、文章でも起こりやすい。
なにか刺激的なことを書いてみては、まずいと思って書き直し。
また書いてみては、書き直し。
最終的にド平凡な文章に落ち着く。
そんな不毛な執筆労働を続けている人はいませんか?

私です!


「ブス」の自信の持ち方。
ネットでざわつかれそうな。言ってしまえば炎上の危険があるタイトルですよね。

(ブス、ブス言って、この人ひどくない?)
(そもそもブスって言葉、使わないでよー)

と、各方面からのお叱りの声が聞こえきそう。

でも山崎ナオコーラさんは、もちろんそんなことは想定内。
あらかじめ断りを入れています。

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文芸オタク女子の バズる文章教室

三宅香帆

こんな書き方もありだったのか! 文芸オタク女子が暴露する、「モテる文章の秘密」がいっぱい。文章を書くという行為が、今よりもっと面白くなるはずです。

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コメント

do_demo1 さがまち用に買おうかな、いや買った。文章のひとつのアプローチとして、わかりやすくて、すっと納得できる記事内容だと思いました。 7ヶ月前 replyretweetfavorite