ボールを奪われるのはどんなとき?
読者の中には、ディフェンスを抜こうとしてボールを奪われてしまった経験がある方も多いと思います。では、どんなときにボールを奪われてしまったかをちゃんと説明できる方はどれくらいいるでしょうか? 実はこれは非常に重要なことで、これが説明できれば「99%抜けるドリブル理論」を半分理解できていると言っても過言ではありません。
ボールを奪われてしまうとき、それは必ず、つぎの3つの原因のいずれかに該当しています。1つ目は自分がボールコントロールをミスしてしまった場合。これは練習を重ねてボールコントロールがうまくなってくるとなくなります。
2つ目はディフェンスに体をぶつけられてボールを奪われてしまった場合。そして3つ目は直接ボールに触れられて奪われてしまった場合です。2つ目と3つ目は、突き詰めて考えると、ディフェンスの足が届く距離内にボール、または自分自身を置いてしまったことが原因とも言えます。ですので、ボールを奪われないようにするには、まずディフェンスの足が届く距離に入らないことが大切です。
僕が子どもの頃にもっとも苦労したのは、ディフェンスに体をぶつけられることでした。決して体の大きくない僕は、フィジカル能力に優れたディフェンスとぶつかって飛ばされたり、抜いたと思っても体を入れられてボールを奪われてしまったりと、テクニックだけではどうしても乗り越えられない壁がありました。
そこで僕は、屈強なディフェンスにフィジカルで対抗するよりも「触られずに抜く」ことを考えました。もっと言うと、相手の間合いに入らず、そのまま駆け抜けることにしました。「戦わずして勝つ」ことができれば、自分のハンデを克服できると考えたのです。
さて、それではディフェンスの足が届くのは、どのような範囲でしょうか。
あなたがドリブルでディフェンスを抜きにかかろうとするとき、ディフェンスは自分の軸足を踏ん張りながら、もう一方の足をあなたが保持するボールに向かって突き出してきます。その足が届く範囲を考えてみましょう。
コンパスで円を描く様子を想像してもらうとわかりやすいのですが、ディフェンスの足が届く範囲は、軸足を起点にして円状に広がっています。つまり、この円の中にボールを置いてしまったら、ディフェンスの足が届く範囲に入ってしまったことになり、ボールを失うリスクが発生するのです。
ドリブル理論では、まずこのディフェンスの足が届く範囲に入らないようにすることを重視します。
絶対に勝てる間合いとは?
ここまでの説明で、ボールを奪われるのはどんなときかを理解できたと思います。
でも、ボールを奪われないようにするだけでは抜くことはできませんよね? 抜くためにはなにが必要かをこれからご説明します。
99%抜けるドリブル理論のタネをひと言であらわすならば、「絶対に勝てる間合いへ気づかれないように忍び込むこと」だと言えます。勝てる間合いは人それぞれ異なりますが、自分の必勝の間合いに、相手に気づかれないように忍び込むことができれば、99%抜くことができるのです。
「絶対に勝てる間合い」は、「距離」と「角度」で説明することができます。先ほどお伝えしたように、自分が保持しているボールに対して、ディフェンスの足が届かなければ、絶対にボールを奪われることはありません。これが「距離」です。でも、それだけでは「絶対に勝てる」間合いではありません。抜くためには「角度」が重要になるのです。
下の図を見てください。自分とゴールを結んだ線の中心にディフェンスがいるときに、どんな角度になればディフェンスを抜くことができるでしょうか。
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