ついにネットフリックスがカネの力で“一等地”を確保した──。
2018年春、こんな話題が一部の業界で注目を集めた。一等地といっても不動産の話ではない。ネットフリックスが押さえたのは、テレビ用リモコンのボタンの位置である。
ソニーのテレビ用リモコン。ネットフリックスは最上部の“一等地”を確保した
ネットフリックスがリモコンに専用ボタンを設置させる戦略を始めたのは、日本に上陸した15年のこと。メリットは、ワンタッチでサービスにつながるという利便性の高さだけではない。視聴者が日常的に使うリモコンに専用ボタンを付けることで、最高の広告になるのである。
当時、ネットフリックスは家電メーカーに対し、リモコンの製造原価の10%を負担することを提案したという。この提案に、日本の家電メーカーは飛び付いた。
とはいえ、家電メーカーもテレビ局の機嫌を損ねるわけにはいかない。ネットフリックスの専用ボタンは多くの場合、テレビ局を選ぶ数字ボタンよりも下の位置に置かれていた。
ところが、ソニーの薄型テレビ「ブラビア」の18年夏モデル。リモコンが一新され、ネットフリックスは電源ボタンのすぐそばの最上部に、専用ボタンを確保したのである。
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