儲かる農業2019

日本の先を行く中国ドローン農家 1人で売上8000万の秘密

自動飛行で農地の上を飛ぶドローンが、農業の生産と農産物の販売を根底から変えようとしている。日中の最前線をレポートする。

 農業分野に限ったことではないが、中国のデジタル化の勢いは凄まじい。ドローン技術の実用化においても、日本のはるか先を行っている。現場を取材すると、「中国の農家は貧しい」という固定観念を見事に覆された。デジタルネーティブの若手農家が抵抗なく最新技術を使いこなし、大儲けしているのだ。

 北京市、上海市と並ぶ中国三大都市の一つ、広東省広州市の中心部から車で1時間30分ほど走るとスーパーもコンビニもない農村の風景が広がる。

 ドローンを使う農家、郭建華さん(24歳)の農場は、伝統的な暮らしとソーラー発電の電灯などが混在していた。ドローンに限らず新しもの好きな一家のようだ。

郭さんはバンズのスニーカーを履いた現代風の若者。
午前10時に作業を始める「ゆとり農業」を実践。Photo by H.S.

 郭さん一家は建華さんと両親の3人でレモンを作ってきたが、2018年8月に農業ドローン最大手、中国XAGのドローンを導入してから20ヘクタールのレモン畑を建華さん1人で管理するようになった。

 ドローンを飛ばしてもらったが、必要な作業はタンクに農薬を入れることと、スマホで農薬をまくエリアを選びタップするだけ。ドローンが自動飛行してレモンの木の列に沿って飛び、元の位置にぴたりと着地するまで郭さんは見守っているだけだった。

ドローンは傾斜地にある日本のミカン畑でさらに効果を発揮。
活用すれば耕作放棄を減らせる。Photo by H.S.

 初めにドローンで畑の形や木の位置を記録し、基地局を建てれば前述の作業だけで農薬をまける。おまけに農薬を無駄にすることがないため使用量を3割減らせた。

 かつては一家総出で農薬をまいていた。1ヘクタールの作業に1日かかる重労働だったが、いまでは全農地(20ヘクタール)の散布が1日で終わる。

 郭さんは年600トンを生産するが、これに1キログラム当たりの平均単価8元(1元=16.5円)を掛けると売上高は7920万円になる。

 これに対し日本の果樹農家の過半は売上高200万円未満。かんきつ農家の平均経営面積は0.5ヘクタールにすぎない。

 目下のところ、郭さんの悩みは販売価格の安さだ。レモンの単価が1キログラム5元まで暴落しているという。だが、この悩みも技術革新が解決することになりそうだ。ドローンで減らした農薬使用量などの生産履歴を消費者に開示できるようになれば、「環境に配慮して生産したレモン」として高値で販売できるからだ。

 ドローンのような最新技術を農村へ普及させる“突破力”も日本と中国とでは雲泥の差がある。

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週刊ダイヤモンド

農業はテクノロジーで激変する。新時代の生産・流通革命に柔軟に対応できる農家だけが「儲かる農業」を実現できる。パートナーや事業を機動的に組み替えられる小規模農家にこそ勝機はある。 ダイヤモンド編集部・千本木啓文、浅島亮子、重石岳史/デー...もっと読む

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