千葉と言ったら「落花生」と「ディズニーランド」ぐらいしか思い浮かばないが、二つ思い浮かぶ時点で「勝ち県」である。送られてきた食べ物はそのうちの一つだ。残念ながらミッキーの肉とかではない。落花生、つまりピーナッツである。
実は私はあまりピーナッツが好きではない。嫌いではないし、普通に食べられる。しかし食べても特に感想がないのだ。 柿の種も、柿の種だけで良いのに、と思ってしまう。「柿の種のピーナッツの意味が分かった瞬間人は大人になる」と言われて久しいが、その観点だと私はまだ4歳ぐらいだ。
大人の象徴、柿の種(画像は4歳児向け)。
中年のすきっ歯にもやさしい最中
よって今回「ぴーなっつ最中」が送られてきた時も「ピーナッツか」と、「スイーツ食うか?」と聞かれて頷いたら「かりんとう」が出て来たかのようなテンションになってしまった。
だがこの「ぴーなっつ最中」、私の知っているピーナッツとは違う。何故ならピーナッツの原型が全くないからだ。確かに、最中はピーナッツの形をしている。しかしナッツらしき姿は見えない。まさかのメロンパン方式かと思ったが、この最中に入っている餡こそが「ピーナッツ餡」なのである。
このピーナッツ餡が「中年特有のすきっ歯に挟まる」等の、私がピーナッツに感じていた芳しくない部分を全部消しているのだ。
嫌いな奴に嫌いな食い物を無理に食わせる必要は全くないと思っているが、あえてこの言い方をする。「ピーナッツが嫌いな人でもおいしく食べられる一品である」と。
霊圧をまろやかに消し去った絶品
逆に「ピーナッツの霊圧が消えている」とも言えるが、この餡がピーナッツを使っているのにくどくなく、香ばしさがあり、普通の餡より格段に美味しいのである。ピーナッツ感がない、というより「ピーナッツを越えてきている」という感じがする。
世の中にはトマトは嫌いだがケチャップは好き、という人がいる。つまりこのピーナッツ餡はケチャップ級の発明ということだ。
柿の種は柿の種だけを食い、ピーナッツは他の家族とかに託してきたが、この「ぴーなっつ最中」に関しては他人に任すことなく、8個入り中すでに7個自分が食っている。 そして間違いなく最後の1個も自分が食うだろう。 大して好きでもなかったものが「好物レベル」まで昇格してしまった。
しかも、ピーナッツの原型が消えてしまっている、と思っていたのが実はそうではなかった。アクセントとして餡に細かいピーナッツの甘煮が混ぜてあるのだ。
ピーナッツがほっくりとした食感に。芸が細かい。
この「ピーナッツの甘煮」、正直最初食べた時は「栗」かと思った。アクセントと言わず、そのまま食べてみたい。なんだったら柿の種のピーナッツを全部甘煮にしてくれても私は構わない。
豪族菓子店「米屋(株)」、やたらと祝う
米屋自体は創業120年の老舗だが、「ぴーなっつ最中」はまだ誕生して20年だという。 しかし「ぴーなっつ最中」は米屋の中でも人気の高い商品のようで、20周年を迎えた際には盛大に祝っている。
どのぐらい祝っているかというと「ぴーもなムービー」と称して、動画を3本も製作している。
この動画は公式サイトで見れるが良い動画だ。 特に少女(推定)が歌う「ぴーなっつ最中のテーマ(仮)」が流れる中、マスコットキャラである「ぴーちゃん」が老若男女入り乱れてふれあう「愛らし編」は、世界平和ここに極まれりという感じで、暗いニュースが多い今こそ見てほしい仕上がりだ。
だがあんまり見すぎるとこの「ぴーなっつ最中のテーマ(仮)」が全く頭から離れなくなるので注意が必要だ。 言い忘れたが、この「ぴーなっつ最中」には「ぴーちゃん」という落花生型のマスコットキャラがおり、動画には等身大の着ぐるみが登場している。
公式キャラクターである「ぴーちゃん」。
全身で「ぴーなっつ最中」であることを主張している。
どうやらこの米屋㈱、相当太い会社と見受ける。 本店には米屋の歴史を紹介する企業資料館もあるようだ。千葉の豪族菓子店に違いない。
「ぴーちゃん」のまなざしが虚無だった
この「ぴーちゃん」は「ぴーなっつ最中」の個包装ひとつひとつにプリントされている。私は全く気付かなかったのだが、担当が「ぴーちゃん」に対し「目が虚無」とコメントしたため、そうとしか見えなくなってしまった。
確かに目が白抜きなので「何も映し出してない瞳」と言えなくもなく、そうやって見ると「ぴーちゃん」と成田の町を散策する動画「成田旅情編」は片道切符なのでは、と思えてくる。何より、「ぴーなっつ最中」の箱のなかにぴーちゃんが整然と並んでいるのが怖くなる。
笑顔でひしめきあう「ぴーちゃん」たち。カワイイ。
しかし群雄割拠のゆるキャラ界、カワイイだけでは埋もれるだけだ。私はつぶらな瞳にするより「虚無」で正解だったと思う。これはこれでカワイイのだ。
ぜひ千葉に訪れた際はぴーなっつ最中を買って、ぴーちゃんがどう見えるか、自分の目で確かめてほしい。