書籍化しました!
“よむ”お酒(イースト・プレス)
本連載『パリッコ、スズキナオののんだ? のんだ!』が本になりました。
その名も『“よむ”お酒』。
好評発売中!
ひとり飲みや、晩酌のお伴にぜひどうぞ
特殊すぎる日本の酒事情
根っからの酒好きなもので、日々暮らしている中で、昼夜問わず、一刻も早く、迅速に、可及的速やかに、「今すぐ飲みたい!」というタイミングがやってくることは少なくありません。そういうときに毎度、日本ほど恵まれた国はないなぁと思わされます。
まず、どこにでもコンビニがある。24時間いつでもお酒が手に入る。ストロング系缶チューハイカルチャーというのもすっかり定着した感がありますね。アルコール度数9%のキンキンに冷えたヤバいブツが、冷蔵庫にずらりと並んでいる。しかも、季節ごとのフルーツ味あり、メロンソーダ味あり、コーラ味ありと、めちゃくちゃポップ。
そんな、ストロングチューハイを、外国人観光客が楽しそうに路上で飲んでいる姿というのもよく目にするようになりました。それを見て「わざわざ遠い国までやってきてそんな普通のことしなくても……」と思う方がいるかもしれませんが、さにあらず。そもそも、街なかでなんの規制もなく堂々と飲酒できる国というのが、相当珍しいみたいですね。外国映画で、酒の瓶を紙袋に包んで飲んでいるシーンがあるでしょう。あれ、かっこつけてるとか保温してるとかではなく、屋外での飲酒が基本的に禁止されているから隠してるんだそうです。つまり、人前で堂々とお酒が飲めること自体が、外国人にとってはエンターテイメントの一種だということ。それだけに、我々日本の酒飲みは率先して、酒飲みの地位向上、とまではいかずとも、せめて地位を今より落とさないためのマナーの徹底などに努めていきたいものです。
街には無数の選択肢が
それだけではなく街には、昼夜問わずお酒を提供している店があふれています。 平日の昼間、次の予定までぽっかりと2時間くらい空いてしまった。今日は猛暑日。なんかこう、どっか涼しい店内でビールでも飲まないとやってらんない。そんなときの選択肢も無数にある。
もっとも望ましいのは、早い時間から飲める渋い大衆酒場。例えば僕の勝手知ったる池袋の街であれば、北口のあたりに、24時間営業の「居酒屋 大都会」「若大将まつしま」「帆立屋」、朝8時から開く「ふくろ」、昼をすぎれば「かめや」「八丈島」タイ料理で飲める「バーンカオケン」、加えて、いくらでもある大陸系中華屋と、その日の気分で選びたい放題。もちろんそんな街のほうが珍しいわけですが、他にも浅草、上野、赤羽などなど、昼飲み天国の様相を呈している街というのはありますし、そうでなくとも、突然ポツンと昼間からやっている個人経営の大衆酒場というのは、日本全国いっぱいあります。
じゃあそういうお店が見つからなかったらどうするか。大丈夫、我々には24時間営業の「磯丸水産」がある。素晴らしいですね、あそこ。昼日中からランチの人と昼飲みの人が入り混じり、ワイワイと活気あふれる店内。その空間に埋没して、ひとりホッピーのグラスをかたむける。今すぐ飲みたい! のときは、別にがっつり飲みたいわけではないので、ホッピーセット+おかわりのナカ+何か一品くらいでいい。「サーモン刺」か「海鮮キムチユッケ」を頼むことにしてますね。僕は。
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