酒と幼なじみ【パリッコ】

酒が取り持つ縁というのはあるけれど、「酒場ライター」という特殊な仕事をしているから取り持つ縁というのもあるのでしょうか。ある日パリッコさんのもとに届いた一通のメール、それは…。
なんだか気ぜわしい僕たちの毎日には、楽しくて、ちょっとホッとできる「お酒」が必要だ! 本連載はそんなお酒をこよなく愛するあまり、「酒の穴」というユニットを結成してしまったパリッコさんとスズキナオさんが、酒にまつわるアレコレをゆるーく、ぬるーく書いていくリレーエッセイです。過去の連載へはこちらから。

突然のメールの主は……

1年半ほど前、テレビ東京ミュージックという会社の方から、一通のメールをもらいました。
「突然のご連絡失礼いたします」「酒場ライターとしてご活躍のパリッコ様にご相談させていただきたいことがあります」というような、いわゆる新規の仕事依頼。これは大変ありがたいぞと読み進めていたら、メールの途中から、ちょっと様子が変わってきます。

「と、堅苦しく初めてしまいましたが、僕、小学校で一緒だった長沼です。久しぶり! お元気ですか?」

え、ちょと待って待って、急になに!? このメール書いてるの、長沼君? ていうか、ナガチ!? ナガチというのはもちろん長沼君のあだ名で、彼は小学校の同級生。というか、小学校時代は一番仲が良かった友達で、家族ぐるみで何度も旅行に行ったりしました。が、彼は非常に頭が良く、中学から有名私立校へ進学してしまった。公立へ行った僕とはおのずと疎遠になり、小学校を卒業してから会ったのは、大学時代に一度だけ。それも共通の知人が参加していたお花見の席で偶然、15分くらい会っただけという、かなり距離のある間柄だったんです。どうやらその時、僕はすでに「パリッコ」という名前で音楽活動をしており、そのことを彼に話していたらしい。それを覚えていて、気になってたま〜に名前を検索しては、「お〜、やってるな〜」と思ったりしてくれていたそうなんです。そんなナガチから、突然メールが来た。これは驚きますよね。
読み進めてみる。どうやら彼は現在、テレビ東京ミュージックという会社に勤めていて、金曜の深夜にやっている「音流~ONRYU~」という番組を担当しているらしい。知ってる知ってる! で、その中で新しく、ミュージシャンが大衆酒場で飲んだり語ったりするコーナーを作りたいらしい。何それ最高! で、僕にアドバイザー的な役目で出演してほしいんだそう。えぇ、もちろん、何でもやるに決まってんじゃん〜! というわけだったんですね。

30年ごしのサシ飲み

数日後、とりあえずナガチと会うことにしました。打ち合わせではあるけれど、旧友との久々の再会。さらに、お酒に関するコーナーをやろうとしてるくらいだから、そりゃあ酒場がいいだろう。と、場所は池袋の「ふくろ 美久仁小路店」という、渋〜い大衆酒場にしました。
若干の緊張感とともに店へと向かいます。なんせ会うのがめちゃくちゃ久しぶりなので、ぱっと見で顔がわからなかったりしたらどうしようなんて不安もあったんですが、カラリと戸を開け、店内を見回してみると、ははは! カウンターでナガチが飲んでる!
人間、だいぶ人格形成ができあがってくる高校時代以降くらいの友達とだと、何年ぶりかに会っても違和感を感じないくらい自然に話せたりするもんですが、こうも間が空いていると最初はぎこちないもんですね。お互い「どう……最近は?」みたいな感じ。が、お酒が入ってしまえば話は別。初めてのサシ飲みをしながら、「あの時はこうだった」「あいつは今どうしてる」「最近の地元はこんな感じだ」なんて話で盛り上がり、けっきょく3軒ハシゴして、最後は南池袋公園の芝生の上で寝っ転がりながら缶チューハイを飲むという、エモみ満点の夜となりました。

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“よむ"お酒

パリッコ,スズキナオ
イースト・プレス
2019-11-17

この連載について

初回を読む
パリッコ、スズキナオののんだ? のんだ!

スズキナオ /パリッコ

なんだか気ぜわしい僕たちの毎日には、楽しくて、ちょっとホッとできる「お酒」が必要だ! 本連載はそんなお酒をこよなく愛するあまり、「酒の穴」というユニットを結成してしまったパリッコさんとスズキナオさんが、酒にまつわるアレコレをゆるーく、...もっと読む

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